6話

ゆあなを振り払ってクラスまで来ちゃったけど

 拓斗は隣のクラス。


 会わないように祈ってドアを開けたけど


 教室の端のほうで仲間とトランプ中。ストーブ近くを陣取って……羨ましい限りである。

 たまにあるんだよね。男子はカードゲーム好きだから。

 ばれないようにうつむきがちに歩いて行って席についた。


「拓斗。おはよ~」

 この声は由香ちゃん。

 明るくてギャル系の女の子。茶髪で化粧が派手で声が大きい。

校則キツイはずのうちの高校でギャルを貫くグループにいる子。

何度も指導入っているはずなんだけども全然めげない。

 意見がはっきり言える人。

 すごくパワフルな人だとは思う。

 私は積極的に話そうとはおもわない。意見違うとスパンと無いと言い切る。キツイ言い方の子。まぁ正論だし、

いい人だとは思うのだけれども。

 でも今は特に関わりたくはない。彼女は拓斗狙いだから。

 だから彼女の声、朝からききたくなかったな。

「ああ。ゆか。おはよ」

 聞いていて愕然とした。

 いままで挨拶してなかったのに。

 用事ある時も由香ちゃんのこと

「有埼」ってよんでたのに……

「ってか拓斗、そっけなっさすぎない?」

「そうか?普通だから」


 由香ちゃんはそのままトランプの輪に

 はいったようで、

 HRが始まるまで拓斗と話こんでいた。


 目を向けることは怖くてできなかった。


 だっていつも無表情で応対していたのに

 声からすると 


 きっと笑顔で話してる。


 いやでも聞こえてくる会話。

 好きなサッカーチームの話。

 好きな食べ物と好きな教科。

 嫌いなものや苦手なもの。

 その話は私に話してくれたことばかり。


 私以外にそんなことはなされるのがたまらなく嫌で

 私はゆあなと話していた。なんとか雑音をかき消したかった。

 キンコンカンコン

 あれから授業が始まって……今は昼休み

 お弁当を広げながら相談中。


 割と恋愛経験があるゆあなは

「で、時間がたっても好きなわけだ。

 そりゃ告白しかないでしょ」


 ときっぱり一言。


「有埼さんと拓斗くんいい感じだもんね

 すこしチャラいかんじするけどそれがまた素敵よね。

 ナイスカップルって感じ」


「……グサッとはっきり言わないで」



「ま、相手が有埼さんじゃ、きついかもね」

 いつもなら笑って答えてくれるゆあなは

 不機嫌な表情。


「ゆあな? どうしたの?」



「なんでも。あたし委員だから保健室いくわ。

 ま、もどってくるまで悩んどけ」

「せいぜいがんばるもんっ」

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