*第119話 特異点

既存の物差しでは測定出来ない、

或いは、通常の手順では現出しない現象を“特異点”と言う。


数学、物理学、工学などの分野で用いられ、

その解や性質を解明する事が革新に繋がる。


文化人類学に於いても“特異点”の表現が使用される。

この場合は特定の人物、または集団を指す。


例えば、一神教の元祖ゾロアスタ。

仏教の開祖ゴータマ・シダルタ。

近代物理学の父ガリレオ・ガリレイ。


その存在が現れる以前と以後とで、世界の方向性が変わってしまう。

それが“特異点”である。


***


「此処が学術都市レンタゲンですのね。」


街の中央に在る大きな建物が科学技術省ですわね。

所々に敷地を持つ施設は学び舎かしら?


「私は、あれを燃やしてから内回りで爆撃するわね。

シモーヌはハリマオちゃんと外回りで潰して頂戴な。」


「やっぱり皆殺しですのん?」

「えぇ、そうよ。街ごと消し去りますわ。」


「胆据わっとるのぉ~」

モモが感心していますわ。


「私のサーシアですもの!」

まぁ!ルルナったら~照れてしまいますわ!


戦争に良いも悪いも有りませんの。

一日でも早く終わらせる。

それしか道は在りませんのよ。


「身内以外には容赦おませんな~師匠。」

その通りですわ。

私は正義の味方では有りませんもの。


「さぁ!始めますわよ!」

誰に喧嘩を売ったのかを、思い知って頂きますわ!


***


奇麗な更地に成りましたわ。


「次へ行きますわよ!」

「はぁ~い。」


物流の拠点オッペンヒムと、幾つかの軍事施設を破壊して、

モスクピルナスに戻りましたの。


「まぁ、どうしたの?チャーミィ。具合が悪そうね。」

チャーミィが蒼い顔で横になっていますの。

挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16817330663929592149


「あぁ、少し堪えたようだね。」

フリーデル閣下が背中をさすって介抱しています。

無理をさせてしまったわ。


「貴方は王都に戻りなさいな。」

「いいえ、大丈夫よ。明日は帝都を攻撃するのでしょう?」

「駄目よ、貴方が壊れてしまうわ。あの子達が悲しむわよ?」


チャーミィと閣下の娘、エルレイラとエルライラ、

アーミアと同い年の3歳ですの。


「御免なさい・・・サーシア。」

「いいのよ、私達が異常なの。」


どうして平気なのかしらね?


「自覚おましたんや!」

「マジでヤベェ!」


「僕は残るよ。」


当然ですわ、閣下には手柄を立てて貰いませんとね。

何時までもダモンの居候ではチャーミィの肩身が狭いですもの。

領地を封じられて、名実ともに大公家を興して頂きますわ!


「あの・・・お母様・・・」

アリーゼが小声で耳打ちして来ましたの。


「なぁに?」

私も小声で囁きましたの。


「今日は私が一番に活躍しましたのよ!」


チャーミィに遠慮していますのね!

可愛らしいですわ~


「まぁ!良い子ね、アリーゼ。」


それにしてもカルアンが死にそうな顔をしていますわね。

どうしたのかしら?


さぁ!明日で終わらせますわよ!


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