*第47話 若き血潮のヨカーレン


多くを知る度に人は臆病になる。

積み重ねた経験が、

その先を予想させるからである。


守るにせよ攻めるにせよ、

慎重にならざるを得ない。


若者達はそれが歯がゆくて堪らない。

幾つもの答えの、

そのどれもが不正解であると知らない。


どの答えを選んでも誰かが泣くのだ。


大人達はそこで迷い足踏みをする。

勇気ある一歩は、

残酷な一歩でもあるからだ。


***


「我々はぁ~自由コイント永遠なる

解放同盟青い山脈友の会であ~る!」

躍り出た若い男の方が拳を振り上げていますわ。


「か!海賊かっ!」

違いますわ殿下・・・


「えっと待ちやい!コイント民族

愛国青年五か国連合有志戦線だべさ!」


「んにゃ!笑顔の未来を創る

若きコイント明るい家族計画じゃ!」


一人だけ趣旨しゅしが違いますわね。

取り合えずは意思を統一してから

出直した方が宜しくてよ。


れ者じゃ!捕らまえよ!」

当然そうなりますわよねぇ~

「僕が守ってあげるよっ!エルサーシア!」

まぁ!男の子ですわね!


「私怖いですわぁ~殿下ぁ~。」

殿下の腕にしがみ付いて豊満になる予定の

胸を押し付けましたの。


「おふっ!」

まぁ!小さな殿下も元気溌剌はつらつ

モロダチンCですわ!


「またそうやってあおるから・・・」

御免なさいねルルナ。

趣味に走ってしまいましたわ。

可愛らしかったからつい。


「まま待ってげれ!話が!

聖女様に話があるべさぁ!」


おや?私に御用ですの?

「黙れ!問答無用じゃ!引っ立てよ!」


「ヨカーレン!ヨカーレンではないか!」

あら、パンジャブ陛下のお知り合いですの?

「親父様!」

王子殿下でしたわ!


「おのれは何すでる!ごのずぼけがぁ~!」

「コイントの為じゃぁ~!話聞いてけりゃ~!」


親善が目的の訪問にケチが付くのは

宜しくありませんわね。

ここは大人の対応をして差し上げますわ。


「お待ち下さいな、

お話をお聞きするくらいなら致しますわ。」

聞くだけですわよ。


「良いのか?聖女殿。」

「えぇ、ですが今日はもう疲れましたの。

明日でも宜しくて?」

殿下も眠たそうでお可哀そうですわ。


***


あぁ~朝から気が重いですわぁ~

え~っと確かヨカーレン殿下?

でしたかしら、“なんちゃら友の会”のお方。


それから~“ほにゃらら電線?前線?”

ちょっとややこしい感じの女性の~

そうそう!ジーライ様!


あのチャラいお方はヤーリティン様でしたわね。


「我々人間がぁ~!精霊とぉ~!

切り離して考えられるかと言うとぉ~!

それは無理なのであ~~~る!

聖女様にお聞きしたいのはぁ~!

人間にとって精霊と言うのはぁ~!

どの様な存在でぇ~!あるのかぁ~!

と言う事でぇ~!あるからにしてぇ~!」


眠たいですわぁ~~~


「私達の精霊は形態が即綿帽子であり!

綿帽子が即形態になるのです!

これは一つの契約なのです!」


さぁ~~~ぱり分かりませんわぁ~


「自由な恋愛こそ我々を未来へと導くのです!

そこには身分も男女の差別も無いのです!」


全面的に賛同致しますわっ!


はぁ~私も何か発言しないと

不味いですわよねぇ~

面倒臭いですわぁ~~~


『それはいつ生まれたのか

誰も知りませんの』


「こ、これは精霊言語か!」


『暗い音の無い世界で、

一つの細胞が分かれて増えましたの』


「何だ?何を言っている?」

「うるさいっ!黙って聞け!

精霊の祝福に違いない!」


『三つの生き物が生まれましたの。

彼らはもちろん人間ではありませんわ。

また動物でもありませんの。

ですけれど、その醜い体の中には

正義の血が隠されていますのよ!』


「なんだか体が熱うなって来たわいなぁ。」


『その生き物・・・

それは人間になれなかった

業界人間ですのよ!』


『ヤバいコ~コロ~で生きる♪

俺たち業~界~人間なのさ♪


客~に職場~を見せられぬ♪

獣の~様なクソ上司♪


<早くお家に帰りたぁ~い!>

挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16817330659678070137


辛~い眠~む気を~♪

吹~き飛ば~せ~~~♪


でもっ♪残業代♪ゼロッ♪

業~界~人~~~間♪』


「なんと美しい歌声じゃ!」

「涙が止まらんわいなぁ~」

「お友達になりたいわぁ~~~」


一件落着いっけんらくちゃくですわ!

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