散文:グラデーション

恋愛、彼氏、結婚。

普通の女の子が考えそうな価値観に触れるときがいちばん、わたしは普通じゃないなと自覚するとき。

男の人と恋をしたくて、ひとりは寂しいと思い込んでいて。

本当のわたしはそうじゃないって、何人が気づいただろう。


ときどき、思いきってマイノリティの海に飛び込み叫びたくなる。

だけどわたしはマイノリティのマイノリティ。そこでもきっと、悩むだろう。


海の中に飛び込みたいあなたは何なのと問われれば、こうだと答えられる日もあるし、よくわからない日もある。

私のアイデンティティは揺れるグラデーション。

ゆらゆら、ぐらぐら、安定しない。

どこかのカテゴリにおさまって安心したいのに、うまくいかない。

人間の心を綺麗に分類できるはずがないのに、ほとんどの人はうまくいっている。不思議だ。


中間地点で揺れている人はどうすればいいの。

わからないけれど、わたしはわたしということだけは、わかっている。

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音声向け台本など 中村ゆい @omurice-suki

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