可愛い婚約者はずっと俺のもの
Totto/相模かずさ
第1話 出会い
初めて会った時、神様に感謝した。
少し茶色がかったふわふわの髪、くりくりとしたリスのような瞳、人形のような女の子は性格も素直で可愛いくて、すぐに俺に懐いてお兄ちゃんと呼んでくれた。
でも、なんとなく兄扱いは嫌だったのですぐ訂正して、それからは
「コウちゃん」
と可愛い声で呼んでくれるようになった。
弾むような声は、とても耳に心地よかった。
それが俺の最愛の香川有希。俺、神戸幸二が8歳、有希が5歳の時に初めて会って、以来17年間恋している相手。
有希はあまり外遊びが得意な子ではなくて、部屋で絵を描いたり本を読んだりおままごとをするのが好きなようだった。
俺としても外なんて学校で遊んでるし、可愛い有希を独り占めにできるから有希の家で遊ぶ時間が好きだった。
おままごとで夫婦役の時は俺にとっては将来の予行練習だったなんて、今から考えても結構やばい思考をしていた。
俺は将来絶対に有希と結婚して幸せにするんだと、その時から自分に誓っていた。
ああ、有希が泣いている。
寂しいと、離れたくないと。
それは俺も同じ、いや、俺の方が有希のこと大好きすぎてわがままを言ったから。
会うたびに一緒に帰ると、俺のお嫁さんにすると駄々を捏ねて、大人たちを困らせた。
俺があまりにも有希に執着していることを心配した俺の親は言った。
「大人になっても有希ちゃんが好きだったら、この母が責任持って結婚させてあげる」
俺の目を見て決心を確認するように言う母に、期待してしまう。
「おい、美幸何言っちゃってるの?」
常識人の父は俺と母とのやり取りを不思議そうに見ているが、俺たちは滅茶苦茶真剣だ。
母はやる。
俺が本気で有希と結婚するために動くなら手を貸してくれる。
そう悟った俺は、
「有希と結婚できるなら世界を手に入れてもいい」
そう決意していた。
後から思うと魔王にでもなる気だったのかなって。
でも、それが俺の正真正銘の本心で、実は現在もそんなにかわっていない。
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