僕の名前はアルス
目を開けると天井だ。白塗りの天井にシャンデリア。目を横に向けると豪華な内装の部屋と窓からは広く手入れされた庭園が広がっている。翔太はこの光景に驚き飛び起きる。
「ここは一体どこ!?」
思わず大声で叫んでしまった。
すると、重厚な扉の向こうから足音が聞こえてくる。どうやら慌ただしく走ってきているようだ。足音はこの部屋の扉の前で止まり、ノックをし、その人物は部屋に入ってきた。
「アルス!目が覚めたのですね!!」
慌てた様子で部屋に入ってきたのは、黒髪ロングでドレスを着た美女だ。
「アルス!わかる?あなたの母よ!?」
部屋に入ってきていきなり抱きついてきた。
どうやらこの人は僕の母親で、僕の名前はアルスというらしい。
「母様、わかります。わかりますから離してください。くるぅしぃ...」
アルスはあまりの苦しさに耐え切れそうになかった。すると、部屋に丸眼鏡をかけた執事の男性が入ってきた。歳は60くらいだろうか。
「奥様、アルス様が苦しそうですので、抱擁はそのくらいしましょう。まだ体力も万全ではないでしょうし。」
「そ、そうね。アルス体調は大丈夫ですか?」
執事のアシストでアルスは解放された。
「はい、母様。大丈夫です。ところで僕に何か起きたのでしょうか?」
なぜ自分が心配されているのか知らないアルスは尋ねた。
「アルス様は、2歳の誕生日のパーティーのあと突然高熱を出して倒れられたのです。3日も目を覚まされず、私どもも慌てていたところでございます。ですが、無事目を覚まされ、とても安心しております。」
答えたのは執事であった。どうやらとても心配をかけてしまったようだ。母様は目に涙を滲ませている。
「母様、心配を掛けてしまい申し訳ありません。もう大丈夫ですので、安心してください。」
そう言うと、母様の涙腺が崩壊し、号泣しまた抱擁されてしまった。解放されたのは1時間後のことであった。
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母様に解放されたあとアルスは執事の男性に色々と質問をした。
まず、僕の名前はアルス・フォン・サーナス。
サーナス侯爵家の長男である。
ちなみに僕の住む国はマリアナ王国。国王を元首とする貴族制のある国だ。この世界の多くの国に貴族制はあるらしい。
父様はサノス・フォン・サーナス。サーナス侯爵家現当主であり、マリアナ王国の法務大臣を務めている。歳は25歳で黒髪でとてもイケメンだ。実は、母様の2度目の抱擁の最中に顔を出してくれて、母様から解放させてくれた。
母様はルナ・フォン・サーナス。25歳の美女だ。ちなみに、父様は母様が美人過ぎるからか、側室を設けていない。ほんと美人です。
そして、今僕に色々と教えてくれている執事がセシルさん。第1執事で家令を務めてくれている。基本は父様専属だが、これからは僕の勉強指導を担当してくれるらしい。
そして、今住んでいるサーナス領のこの屋敷には、他にも執事3名、メイド15名、料理人5名、庭師2名、馬丁2名が勤めている。屋敷の敷地内には専用の寮まで整備されている。この他にも王都の別邸に10名程度の使用人がいるようだ。
「セシル、色々と教えてくれてありがとう。」
そう感謝すると、
「いえいえ、アルス様。アルス様はとても覚えが良く聡明であると感じました。これからの勉強指導がとても楽しみですなぁ。早速明日から始めますので、よろしくお願い致します。それでは仕事がありますので下がらせていただきます。」
セシルはそういい笑顔で部屋から出ていった。明日からの勉強楽しみだなと思い、少し部屋を散策することにした。アルスの部屋は部屋と言ってもとてつもなく広い。さすが侯爵家の屋敷だと実感した。
すると、目の前に鏡を見つけた。
そう言えば転生してから見てなかったなと思い、自分の姿を鏡に映した。
そして一言、
「めちゃくちゃ整った顔やん。」
思わず、自分に見とれてしまうのであった。
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