第16話 ラストがしまらないと物語は面白くない
「むりにヒロインを入れるのはやめよう。思いついたら入れるって方向で」
俺は諏訪さんにそう言った。諏訪さんは『そうだね!』と笑みを浮かべてそう言った。俺は再び諏訪さんが書いた小説に目を向ける。
俺はやはり一つ気になった。それは、ヒロインを物語上に入れるのってめちゃくちゃ難しいのだろうか、ということだ。案外かんたんそうな気がするのだが、実際はそうではない?登場させることが難しいのか。それともキャラ作りが難しいのか。あるいはその両方か。
俺が物語を書くとしたならばまずテーマを決めるかな。何か一つの熟語だとかをテーマに置いて、それをもとに話の構成を作る。構成がある程度固まったなら主人公とヒロインを考える。やはり自然とヒロインを考えるな。だが、諏訪さんはその手順を辿っていないように感じる。
「物語の構成はどうなっているんだ?」
物語の構成にはやはり何か一つの大きな区切りみたいなものがあると思う。二部構成にするのなら、一部と二部の間に大きなターニングポイントとなるものが挟まれるはず。でないと、区切りが分かりづらくなるし。
「全部で780章の構成になってて、1〜170章までが主人公が生まれてから6歳になるまでの話」
「長い!」
780章って聞いた瞬間に長ってなったけどそれはもしかすると話数なのかもしれないが、1〜6歳までで170話も諏訪さんのユニークな話が続くのは正直しんどい。もう少しカットしたほうがいいような気さえする。
「そ、そう?私的にはこれくらい普通かなって思うんだけど·········」
「まぁ、長く続いている作品もあるよ、そりゃ。でも諏訪さんはまず、100前後で話を完結させるような作品を作ったほうがいいと思うんだよ。べつに100話まで続く必要もないけど」
諏訪さんは少し考え込んだ後、
「伏線っていうのが物語の中にあって、それを回収するのにはこれくらい必要になるんだけど」
ふ、伏線?うそ、そんなのあったの!?なんだよ、それ。めちゃ気になるじゃねぇか。俺は諏訪さんの小説を手に取り、伏線探しを始めた。が、結果、見つからなかった。
「···········どこが伏線なんだ?読んでも分からないんだけど··········」
たまに伏線ではないと思っていたところが物語の後半で伏線であったと気づくことがある。その驚きは計り知れないものだ。
「主人公にはさ、妹がいるでしょ?それでお母さんはギャル。主人公の妹さんが本当にギャルなのかどうか、最終章で明かされるんだよ」
クソどうでもいい!マジでどうでもいい!ギャルだろうが、なかろうがどうでもいい。それが最大の伏線ならどんだけ引き伸ばすんだよ。もっとコンパクトにしろよ。なげぇよ!
その後、諏訪さんとああでもない、こうでもないと話し合い、今回の物語の内容の話し合いは終わりを迎えた。
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ここまでが日常編でした。次話から雰囲気が急変します。
一応、この物語のヒロインは諏訪さんではなく、加藤雪女であるので視点が加藤に移ります。今まであまり登場していなかった感じですが、次話以降からはガンガン出て来るのでお楽しみに!
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