第14話 技名に『スーパー』を入れたらカッコよさ気に見えるかもしれないけど多分それは気のせい
池(前回出てきた諏訪さんの彼氏、面良池)と親友になったその翌日、俺は諏訪さんと図書室に行き、諏訪さんが書いた小説の感想会をしていた。この感想会はほぼ毎日やっていて、諏訪さんはそれを聞いた上で次の日にまた小説を書いてくる。それを繰り返して何日経ったかのか分からなくなるくらいに繰り返している。
今回は異能バトルの話だ。主人公であるフランケン=ノビネッツ・ノビネッツ·········相変わらず登場人物の名前がすごいな。どうやったらこんな名前が思いつくのだろうか。これまででトップとまでは行かないが、それでもこのフランケンなんとかは結構癖が強いと言うか、ラノベじゃまず見ないような名前だ。小説をめちゃくちゃ書いているけどネーミングセンスはあまり伸びてない気がする。まぁ、今後に期待ということで。
「そういえば、諏訪さん。なんか小説を書いてて悩んでることがあるんだって?」
「うん。異能バトルなんかだと技名を考えなくちゃいけなくて·········私、結構考えてるんだけどカッコいいのか分からないから、大橋くんに見てもらおうかなって思ってるんだけど良いかな?」
「もちろんいいさ!」
クククッ、俺はかつてネーミングセンスの神と恐れられていたのだ。技名の良し悪しなど操作もない。クククっ、諏訪さんへのアピポイを稼ぐとするか。
✖大橋は『ネーミングセンスの神』などと呼ばれていたことはない。むしろ、ネーミングセンスがなさすぎて先生に『この題名は変えた方が良いんじゃないかな?』と苦笑いを浮かべながら言われた経験がある。
書く題材は、好きに学校内のどこかであれば書いていいと言うもので大橋はその当時のクラスの教室を書き、『クラスルーム教室』と題名を付けた。クラスルームと教室が同じ意味であることを知らなかった大橋は一年後に恥ずかしさのあまりベッドでジタバタすることになるのだが、それは別の話。
それと大橋はアピールポイントのことをアピポイなどと省略しているが、そんな略し方をしているのは大橋だけである。アピポイなどとクラスメイトに言えば大いにからかわれることになるであろう。大橋はそんなことに気づいていなかった。
俺は早速、諏訪さん考案の技名を見てみた。
『スーパーアタック』
『スーパーキック』
『イリュージョン・スーパー・イリュージョン』
·············?
な、何これ?どゆこと?いや、最初の2つはわかる。だけど、最後のは全く分からない。何、イリュージョン・スーパー・イリュージョンって。
「諏訪さん、この技の効果みたいな説明ってあるのか?」
「うん、昨日書いてきたからあるよ」
諏訪さんから手渡しで受け取ると俺は目を通していく。
スーパーアタック
通常の攻撃より20000倍威力が強いが、一度使うと全身粉砕骨折になる。
使えねぇ。一度使うと全身粉砕骨折っていや、これは使えねぇ。一瞬つよっ!って思ったけどその代償がデカすぎる。
スーパーキック
通常の攻撃より20倍強いが、射程が使う本人の足の長さで決まり、短足だと脱臼する恐れがある。
···········短足って言うなよなぁ。気にしてるかもしれないじゃん。それに短足でこの技使ったら脱臼って··········足長だったら敵に当たるから脱臼しないってこと?随分と理不尽だな。
イリュージョン・スーパー・イリュージョン
敵の身体能力、思考力、反射速度を通常より50000倍下げることが出来、その分、自身の身体能力、思考力、反射速度、足の長さを大幅に上昇させることができる。代償は特に無し。
足の長さいつまで引っ張るんだよ!もうやめてやれよ!つうかなんだよこの技。チート過ぎだろ!今までの技は何だったんだよ!
それより気になることが俺にはあり、諏訪さんに聞いてみた。
「なんで技名に“スーパー”が必ず入ってるんだ?」
どの技にも共通してスーパーという言葉が入っていた。何かそれに意味があるのだろうか。
「それは、スーパーって入れたら技かっこよくなると思ったから、かな」
「···········カッコいい?」
「うん。スーパースーパーアタック!なんてすごいカッコいいと思わない?」
いや、諏訪さんの『スーパースーパーアタック!』の部分がめちゃくちゃ可愛かったです。
「大橋くん、聞いてる?」
「ああ聞いてるよ、もちろん」
危ない危ない。諏訪さんの可愛さに意識を持ってかれるところだった。油断しないようにしないとな。
「スーパー入れたらカッコいいってネットで言われてたのか?」
「私がそう思っただけだけど」
スーパーが入っている代表格的なものはやはりドラゴンボールのスーパーサイヤ人が俺の中ですぐに出てくる。それにスーパーを更に追加したとしよう。すると、『スーパースーパーサイヤ人』ってなるわけだが、これカッコいいか?特に変わってない気がするし、なんならダサくないか?気のせい?
「バリエーションを増やしたほうが良いと思うからスーパー入れてないやつも考えてみよう。時間もあるし」
「スーパー入ってないのはカッコ良くないよ!」
「池はスーパー入ってないけどカッコいいだろ?」
「うん、池くんはすごいカッコいい!って大橋くん、何言わせるの!」
いや、良いものを見た。諏訪さんの笑顔は5億円の価値があるね。
●まだ続く!
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