第26話 淀君さんと縁結び⑤
ここは製鉄や機械工具を扱う金物業界の守護神として、また家庭の台所の神様として信仰されている。
「この神社さん、ふいご神社さん?ふいごってなんですか?」
「ふいごって鍛治屋さんが火を起こすのに使ってた、風を起こすやつ。」
「鍛治屋さん!だから金物関係の人がお参りに来るんですね。」
「台所の神様でもあるんやって。家から火事出したら大変やん。お参りしとこ。」
初めは自分には関係ないとスルーしようとしたが火事の話にビビったもと子もリュウの隣で神妙な顔で手を合わせた。
鞴神社の隣は城方向八幡宮。
ここは大阪城の守護神として城の方向、つまり北を向いたことから北向さんと呼ばれる。各地の武将が大阪城に登城する際、武運長久を祈ったことから勝運、方徐けの神様として信仰されている。
「リュウさん、ここの神社の名前、変わってますね。しろほうこう?」
「いやいや、きたむきさんと言うらしい。大阪城の守護神で北方向の大阪城に向いてたんやって。武将が信仰してたらしいわ。」
「じゃあ、勝負に勝つみたいな?」
「そやな。それと方向の神様?悪い方角に行くときの災難除けもご利益あるねんて。」
「悪い方角って、リュウさん、よくいろんなお得意さんの所に行くじゃないですか?私、しっかり神様にリュウさんを守って下さいってお願いします。」
「お、おう、ありがとな。」
熱心に手を合わすもと子の姿が嬉しく、隣で手を合わすリュウも心に温かいものが溢れてきた。
次は精鎮社の奥、稲荷社がある。
稲荷社は佐賀県の祐徳稲荷の分霊で鍋島藩とその関係の商人に崇敬されたそう。商売繁盛等のご利益がある。
「ここのお稲荷さんは祐徳稲荷さんの神さんやって。鍋島藩の関係者に崇敬されてたらしいで。」
「祐徳稲荷さん?」
「佐賀県の大きいお稲荷さんらしい。商売繁盛のご利益あるから俺はお参りしとく。」
「あ、じゃあ私も神様にリュウさんのお仕事応援してくださいってお願いします。」
もと子もリュウの隣で手を合わせた。
稲荷社の隣は源九郎稲荷社。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます