第43話

王都のバルフォアボール邸のメイドになって一ヶ月が経つ。

領地でのメイド見習いと同じ仕事だったが、領地と違い、王都の屋敷の洗濯物も多く、掃除の場所も広かった。


私の担当は、洗濯物係。

洗濯物を集めて、人が居ないのを確認し、ローンジェリー洗濯と発揮し洗濯を終わらせ、フォールドゥ畳むと一番得意な魔法を使う。

魔石に溜まりすぎた、魔力の放出をする為にも行っている。

魔力なしと言っているから、魔法を使わなくても、午前中で、終わる仕事内容を与えられている。


午後からは、掃除の手伝い、他の事がない時は、自室に戻り、基本は文字の勉強をするようにとベッカ侍従長から指示されている。


仕事も終わり、自室で、いつもの様に、ポシェット肩掛けバッグから魔法の本を読んでいると、奥様からの、呼び出しがあった。


「奥様、お呼びでしょうか?」一礼して、部屋入る。

一ヶ月仕事をしていたけど、奥様からの呼び出しなどは、無かった。


「ケイト、仕事はどう?慣れたかしら?」


「はい、領地でも、同じ仕事だったので、慣れました。」


「そう、今日は、教会の慈善活動に行くの、ケイトも一緒にいきましょう。

村では、教会に毎日、行っていたと聞いてわ。」


慈善活動は、決まっていた、ただ、ベッカ侍従長から、ケイトは休みの日も、屋敷から出かけないと、報告を受けて、教会に連れ出した、と馬車の中で話してくれた。


奥様の教会の慈善活動の為、専属侍女のアリーと護衛騎士、メイドのケイトで王都の教会本部に出向いいた。


教会本部では、奥様を司祭様が出迎えている。

本部の神父様達も集まって、挨拶をしていた。

私は、侍女のアニーと護衛騎士の後で、見えないように立っていた。


後ろから、肩を叩かれ、振り向くと、そこには懐かしい、ドミニク神父が、立っていた。


「やっぱり、ケイトちゃんだ。久しぶり、どうしたの?お母さんと一緒?」


ケイトは頭を横に振った。


バルフォアボール辺境伯の奥様サマンサと一緒に来ている事と、メイド服を着ている事に気づいた。


「ケイトちゃん、待っていてね。」といい、ドミニク神父は、その場から離れて行った。


(ドミニク神父、変わらないな。レスが亡くなった事知らないのよね。待ってて?奥様に許可を取りに行ったのよね。)


ドミニク神父が、戻ってきて、侍女のアリーと護衛騎士は使用人の控室に案内され、ケイトは、ドミニク神父と一緒に、奥様と祭司様のいる執務室に案内された。


奥様がドミニク神父にケイトが、どうして王都でメイドをしているのかを話してくれた。


「ケイトちゃん、大変だったね。今は落ち着いだんだよね。」


「はい、バルフォアボール辺境伯様のお屋敷で、メイドとして、働かせて貰ってます。」明るい声で、答えられるようになっている。


「そうか〜、所で、ケイトちゃん、お願いがあるんだけど。」ニヤリと口角が上がった。


「はい、何でしょうか?」


「ケイトちゃん、もう一度、魔力検定受けてくれない?」


「・・・・」


「僕、どうしても、あの時の魔力検定の結果、納得いかないんだよね。」


(ドミニク神父、今だに、魔力検定の事を覚えてたの?大丈夫よね、ペンダント着けていよね。今日も、魔法を使ったから、魔力を吸い取って貰えいるはず。隠し通すわよ。)


「ケイト、折角だから、魔力検定受けてみれば、村の水晶よりも大きな水晶よ。王都の水晶を見るのもいいじゃない。」

笑顔で、軽く、魔力検定を受けるように促されしまった。


司祭は、大きな水晶に掛かっている、白い布を取り除いている。


(拒否権はないのよね、この雰囲気は、大丈夫かな?魔力吸い取ってもらえるかな?せめて、髪留めをしておけば、よかったかな?)


ドミニク神父にケイトは、手を引かれて、水晶の前に立たされる。


「ケイトちゃん、多分、身につけているペンダントとそのポシェットを外してね、髪留めはどうしたのかな?」


「髪留めは、髪を短く切ったから、ポーチに直してます。

どうして、形見の品を外さないといけないんですか?」


「今、王都でね、魔道具士エマが作った、魔力補完型のアクセサリーが出回っててね、ケイトちゃんの村に来ていたよね。」


「それは、村の男の人達が作った、アクセサリーを買って貰ってたんです。」


「そうか、でもね、今は、魔力検定の時に、全てのアクセサリーも外す、決まりになったんだよね。」平然と言ってのける。


司祭が、ケイトに向かって、

「ドミニク神父が、村の水晶の反応が変だったと言って来ていたんだ、ただね、村の子供一人を、教会本部に呼ぶのも可笑しい事だから、本人が、王都に来たら、もう一度、魔力検定をしなおせば良いと言っていたんだよ。」と目を下げ諭すように言ってきた。


(もう、諦めて、魔力検定を受けるしかないの?お願いよ、魔力なしにして。)


ペンダントを外し、ポシェットも外し、水晶の前にたった。

村の水晶の10倍位ある大きな水晶。

テーブルの上にどっしりと鎮座している。


諦めて、水晶にゆっくりと手を翳す。


水晶は、その中心から、今までに見た事のない程の眩い強い光で赤、青、黄、茶、と点滅し眩く光りを放った。

村にある水晶よりも、一際光を放っている。


「「「!」」」


「やっぱり・・・・」と、口走ってしまった。

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