第2話 霊界アベンジャーズ
「心霊特番。最恐の悪霊VS最強の霊界アベンジャーズ」
例によって四季折々にテレビで放送するスペシャル番組の撮影隊がやってきてしまった…………これだから生者は!
数名の撮影スタッフに囲まれながら司会者は進行を進める。
「今日はこちらの四人に来て頂きました。まずはお一人方は新宿に拠点を構える敏腕霊媒師、霊界ババァさんです」
「感じる……感じます。ここには多数の怨霊が渦巻いています」
「さすが敏腕霊媒師。お二人方目は富士山麓の寺よりお越し頂いた、無駄武藤
「ん〜南無阿弥陀仏」
「和尚。最恐の悪霊が相手ですが退治できる自信はありますか?」
「戦う前から負けること考えるバカがいるかよ?」
「おぉ。さすが日本随一の僧ですね。闘魂がみなぎってます。お二人方目はバチカン市国よりお越し頂きました。カトリック最強の悪魔祓い師、エ・クッソ・シット神父です」
「ヨロシクゴメンクダサイ」
「神父。自信の程は?」
「ア〜……日本ニ来テ、回転寿司ヲ食ベマシタ」
「……なるほど、日本語以外は準備万端ということですね。頼もしいです。お次は理化学研究所の所長にして世界的心霊研究の集団、イギリス、ケンブリッジ大学SPR、日本人で唯一所属しているサイエンスゴーストハンター、
「宜しくお願いします。私にかかれば悪霊なんて、世界から根絶できますよ。何せ控えめに言って、私は天才ですから……ププッ……ハーハッハッハッ!!」
「ん〜クセが強い。では、この4人の皆さんに悪霊を跡形もなく除霊して頂きましょう」
私は森の木陰からライトで照らされた撮影隊の様子を観察していた。
ウ、ウソでしょ?
跡形もなく除霊なんて横暴よ。
私が何したっていうのよ!
あっ、生者を脅かしまくってた……。
これバチが当たったてことなの?
死んだ後でも嫌な目に合うなんて、世の中は残酷よ!
と、ぶつける先のない不満をぼやくと、撮影隊に紛れた人物と視線が合う。
敏腕霊媒師こと霊界ババァが闇に隠れた私を指す。
「そこに……そこに霊が見えます」
撮影隊のカメラやライト、スタッフの視線を一気に集め動揺した。
私は木陰から慌てて離れて、石段の影に全体をうずめる。
なんで幽霊なのに隠れなきゃいけないの?
石段から頭をコッソリ出して覗くと、
「おぉ! 女の幽霊がいます。すぐそこにぃ〜」
石段に顔を沈めて思慮。
完全に幽霊の私が見えてる。
本物の霊媒師だ。
そーと、頭を出して覗く。
ちょ、ちょっと? あの人、こっちに向かって来た!?
幽体を浮かして風で飛ばされたチリ紙のように浮遊、霊媒師の目から逃げる。
それでも私の姿をなんなく見つけては、小走りで追ってきた。
「ウヒヒヒッ、待てぇ〜」
それはまるで昔話に出てくる鬼婆。
幽霊よりもホラーすぎる!
私は腐った木と成り果てた木造納屋の壁を通り抜けて、軒下まで通り抜け隠れる。
軒下のスキ間から霊媒師の様子をうかがった。
年老いた霊魂師はキョロキョロと周り見わす。
落ち着きを取り戻して霊媒師をじっくり観察していた。
あの人……幽霊は見えるけど何も出来ないんじゃないの?
変に霊力があるのは厄介だけど、何も出来ないなら全然怖くないわ。
ここでしばらく身を潜めてれば、あの人達はいなくなるだろうし。
と思っていたら。
なんだろう、自分が自分じゃないみたいに言うことを利かない。
軒下を抜けて廃屋の室内に移ると壁へ吸い寄せられてる。
駄目、このまま通り抜けたら外へ出て見つかる。
時すでに遅し――――闇夜の外へ出た。
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