隧道
「このトンネルを抜けてすぐのところ、左、すぐのところ」
灯りの無いトンネルの入り口を前にして、
先導してきた奥多摩の友人の車を先頭に、4台の車が停まっている
いずれもエンジンをかけたまま、ハザードがそれぞれまるで蛍のように点滅している
一同は車から降りてライトの先に照らされているトンネルの中を覗きながら、遂に目的地に近づいたという不思議な興奮に沸く
「ここから歩き?」
「いや、車でいける。車を停められるくらいスペースがある」
「こんなところで一人で待つ方が怖くないか?」
「いや、俺は帰るよ、来た道戻るだけだから案内いらないだろ」
「え?一人でこの道帰るのか?」
「ああ、あんなとこに行くよりマシだよ。それより本当に行くのか?やめた方がいい。ここまででもう充分じゃないか。みんなで帰ろう」
「いや、俺たちは、行くよ」
「そっか・・・気をつけろよ・・・」
「ああ、じゃあまたな。わざわざここまでありがとう。気を付けてな」
奥多摩の友人は車をUターンさせると、真っ暗な山道に消えていった
しばらく皆で彼の車の音を見送っていたが、やがてそれも遠ざかっていき聞こえなくなった
「よし、じゃあ行くか」
9人は再び3台に分乗し、車をトンネルに走らせたのだった。
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