【First Xmas】追加分


【First Xmas】

追加忘れです

後日話を統合します


今年ラストですね!

色々大変な年でしたが皆様が健やかに穏やかに年を越せますよう願っております




良いお年を



≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫



………



霞む視界は暗かったそして、

温かいものに包まれていて離れがたかった


「………んぅ」


………ん?


温もりが喋った


サワサワ


「ッ!……ん…………ん!んははは!」

我慢したような声から笑い声となる

僕とした意識のまま首を動かす

すると涙目の青い瞳が見えた



「………照輝くん?」

「……はい。おはようございます」

少し照れたように笑って俺の頭を優しく撫でている


俺は寝ぼけたまま今の状況を考える

温もりは照輝くんで

笑ったのは照輝くん

昨夜一緒に寝ちゃったのか…

これじゃきーくんを馬鹿にもできないな

黙って思考する間も髪を梳かすように撫でられる

心地よい…じゃなくて!


「ごめん照輝くん!」

「おっと。大丈夫ですよ」

「そ、そう。あ、おはよう」

声が萎む

驚いて離れようとした際顎に頭突きしそうになり危なかった

互いに布団の上に座り向き合って挨拶をした

みると透き通った黄金色の髪が跳ねている

俺の視線に気付き照輝くんが寝癖の毛を恥ずかしそうになおすもすぐに戻る

ぴょんと跳ねる

「ふふ」

「笑わないでくださいよ」

へへへと笑う


穏やかな朝だ

互いに見つめあった後、一笑いして照輝くんが視界の端に映ったものに注目する


枕元に赤い包装紙に緑と黄色のリボンのプレゼントと

白い包装紙に赤いリボンのプレゼントが置いてあった

照輝くんは黙って赤い箱を持った

それは…

チラッと横目で俺をみて視線を戻した

もうバレバレか…でも最後まで抵抗する俺



「サンタさんからだ!僕とっても嬉しいなぁ」

「もういい。もういいんだ照輝くん」

ギブです

健気に演技してくれる姿にこちらが耐えられない

てかうまいな


「…開けていいですか?」

「どうぞ」

申し訳なさそうにしつつ、期待感からか目が輝いている気がした

俺の返事を聞くと正座して丁寧にリボンを外し

包みの紙を破かないように取り除いている

なんだが見ているこちらがソワソワしてしまう


カパッと箱の蓋が開けられる


「「……」」

む、無言…

やっぱりもっと年代層を意識したものを買えば良かったか!?

センスとかいろいろわからない

気持ちが焦って頭を掻く


「えっと、趣味じゃなかったら使わなくてい「うっ…」う?」

箱から取り出したものを両手に持って俯いている

お、おこですか?

トラウマになりそう


「う、嬉しい、嬉しいです!!」

某ゲームの宝箱から取り出すアクションのように掲げて頬を赤くしてそう言い放った

手に持っているのは艶のある紺色と内側がオレンジのショルダーバックだ

今まで照輝くんと出かけるたびに大きなリュックやマイバッグでトコトコと走り回っている

なのでお洒落なバッグぐらいあっても困らないかなって思ってね


「…」

じっとバッグを持って見つめている

なんかこそばゆい

「あ、えっとこんなに良いもの、もらって良いんですか?」

嬉しそうな表情から不安そうな顔になる

遠慮しているようだ

「うーんと、…」

指をさす

照輝くんはそれを目で追う

そして箱の底に気づいた

バッグを抱えたままで箱の中を除く

気づいたようで綺麗な青い目を丸くした


「な、な、な、なんなんですか!?」

あの照輝くんが動揺している

なんだか見ていて面白いな

プルプルと小刻みに震えながらバッグを膝の上に乗せ

箱の最後の中身を取り出す

リボン結びの黄色いリボンをまた丁寧に外す


「…」

まるで殿様に下賜された武士のように持ったまま固まっている

「て、照輝くん戻ってきて」

「ハッ!」

江戸時代から意識を取り戻したようだ

「…どう、かな?」

人に送るってこと自体初めてで、緊張した

家族にしかあげたことはなかった


「…幸せすぎて、嬉しすぎて、僕、怖いです」

俺を見ながらプルプルしている

悪いことをしてしまった気分になる

意を決して行動した

「ちょっと失礼」

手に持ったものを取りそれを照輝くんの首に巻く

うん。想像より似合っていた


されるがままの照輝くんは固まっていた

首には大きめの良い生地で光沢感のある青いマフラーだった

そして金色の刺繍でT・SHIRASEと名前が縫ってある

それを見てさらに瞳が輝き髪の毛が僅かに逆立っている

青いマフラーが照輝くんによく似合っていて我ながらなかなか良いものをチョイスできたと思う

俺がクリスマスプレゼントとして用意したのはこの二つ

ショルダーバッグとマフラーだ


「僕、もらって良いんですか?」

「もちろん。照輝くんのために選んだからってえ!?泣いッ!?」

言い終える前に照輝くんが飛び込んできた

反射的に抱き止め背に腕を回す

フワッと柔らかい髪の毛が鼻先に当たる

照輝くんの落ち着く香りがした


「…嬉しすぎます」

「そっか。なら良かった」

ぎゅっと抱きしめる

なんだか年相応でさらに可愛らしかった

バイト代でなかなかの値段のものを買ったけど惜しくはなかった


ポンポンと頭を撫でる


照輝くんが俺を見上げる

朝日を浴びた黄金色の髪がふわりと揺れ

透けた綺麗な青色の瞳が俺を映す


「馨くん。本当に、本当にありがとうございます」

「喜んでくれた?」

「生まれてきて良かったと思うぐらいには」

「あはは!それは喜びすぎじゃない?」

「そんなことないです。一生大事にします」

真摯に告げる

なんだか、照れてしまう


「そう。えっと…」

心を落ち着かせて言った

「メリークリスマス。照輝くん」


「…メリークリスマス。馨くん」

とびっきりの笑顔付きの挨拶だった








「ヘックション!!」

ビクッ!?


「へぁ〜」

ギュンと上体を起こしたまま奇声を発したきーくん

いつのまにかリビング戻ってきて寝ていたようだ

その隣で布団を束ね抱きついたまま寝ている守がいる


「…」

半目のまま俺たちを見る

「お、おはよう」

「…おはー」

二ヘラと笑ってトナカイの格好のまま片手で腹を掻く


「おっ!プレゼント開けてるじゃんフライング!」

「そんな決まりないよ」

「あーそれがかおるっちのプレゼント?似合ってんじゃん」

照輝くんのマフラー見ていった

言いながら暑い!と言ってトナカイの着ぐるみを脱いでいる

パンツ一丁だ


「俺の!俺の開け…てねーし!開けろし!」


「はぁ……開ければ良いんですね。はぁ」

仕方ないという態度を隠さず俺から離れて枕元にもう一つあった白い箱のプレゼントを持った

俺があげたプレゼントの五倍の速度で開封された

「これは…」


照輝くんの後ろから俺も覗き込む

箱の中にはさらに箱がある


「カメラ?」

「そう。チェキってやつ。店で売ってるやつだけどそこそこ人気なんだぜーあわわわ」

我が物顔で冷蔵庫を開けて炭酸水を飲み、刺激に震えている喜一



「ちぇき」

棒読みだ。知らないのかな

「インスタントカメラだよ。取るとすぐ、ほらここの部分から写真が出てくる」

箱から取り出されたカメラを受け取り照輝くんを取る

カシャンと軽い音がした後

少ししてジーという音と共に写真が出てきた

チェキ独特の風合いで撮れた照輝くんが驚いたような顔で写っている


照輝くんは手渡されたチェキをまじまじと見て

俺を撮った

ジーと音がして

サンタの格好のまま寝てしまったから皺が寄っていて草臥れた感があった少し恥ずかしいな


出てきた写真を見て、きーくんの方を向いて一言

「ありがとうございます。喜一さん」

と言った

きーくんは炭酸飲料を飲む仕草のまま照輝くんをみて

ニカっと笑った



「……さむい」

守が起きたようだ

はだけたパジャマ姿では少し肌寒いかもしれない

「あー!」

守が指差しした先を見る

「おー」

「雪?」

「積もってるね」


ガラス戸から見える庭に確かに

雪が積もっていた

「あー!プレゼント!」

すぐにターゲットはかわり守が枕元にあるプレゼントに気づく

乱雑に包装紙を外す

「!サッカーボール!とシューズ!」

「良かったな守」

「うん!あれなんで馨兄ちゃんサンタの格好してるの?」

「えっ!?えっと気分?みたいな」

苦しい言い訳をしたが守はプレゼントに夢中だ

きーくんとお金を出しあって買ったプレゼントに守は喜んでくれたようで安心する

守のも詳しくはないけど、なかなか良いものを選んだらしい



「ねぇねぇ!これでみんなでサッカーしようよ!」

「いいね」

隣を見るとマフラーに顔を埋めたまま俺を見て黙って頷く照輝くん

か、かわいい


「よっしゃ!」

「まって守!その格好じゃダメだから!風邪ひくよ!きーくん朝からアイス食ってんな!」

「へへやんかぁ」

スプーンを口に入れたまま文句を言う

絶対後でお腹痛くなるだろ


「とりあえずみんな着替えよう。朝ご飯もまだだし食べてから遊ぼうな?ほら各自行動開始!」

守はトタトタとパジャマを脱ぎだして

布団の上に転んだ

きーくんはほほかぁと言ってアイスを冷蔵庫にしまい洗面所に向かったようだ

俺は自室で着替えようと部屋を出た廊下が冷えていて早足で進む

さ、さみぃ



後ろの方で

照輝くんが一人静かに

プレゼントを抱きしめいたのは誰も見ていなかった



ただ静かに雪が朝日に照らされて降り積もる

冷たさと温もりが共存し

まるで複雑な心のように世界は見えて

美しかった



はじめてのクリスマスは

始まったばかりだった





≫END≫







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