眠らない街の眠れない夜に

八草秋水

        深夜

首都東京の辺境アパート204号室ここが私の住処だ。

辺境といっても深夜に蝉の鳴き声や川のせせらぎは、聞こえない。

聞こえるのは、酔った同年代くらいのおっさんの賑やかで楽しそうな笑い声や車の音そして電車の音だ。

夜が段々と深くなるにつれそれらも段々と聞こえなくなってくる。

けれど誰も通らない道は、寂しく照らされているし誰も買わない自販機は、今も誰かを待っている。

眠らない街。

人間が眠りについたとしても眠らない“モノ“がある。

たまにくる誰かを街続けている。

窓からそんな景色を覗いていると一匹の猫が寂しく照らされた道に訪れた。

猫は、そこで座り込んだ。

まるで他の“モノ“と同じように誰かを待つように。

空に陰りが無くしかし月もない星が幾つか見えるどこか寂しくなるような夜だった。

空の光は、地上の光に負け強いものだけが見える。

どこか寂しい夜だ。

数多の星は、地に落ちたらしい。

今も猫を照らす地上の星に。

猫は、待ち続けた。時計は、午前二時を指している。

私は、立ち上がり財布と携帯そしてギターを持ってサンダルを履き部屋を出た。

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