誰かを不幸にするなんて 1

 ようやく見つけた少女は、涙を流していた。


 頬を赤く腫らし、足からは血を滲ませ、顔を涙と鼻水でくしゃくしゃにして。


 自分ではない者を想って、泣いていた。


 君のせいではないと何度も言った。


「違います。違うんです……」


 ただの偶然だと何度も諭した。


「わたしは、わたしは……なんで」


 その度に少女は首を振った。


「幸せ屋が、誰かを不幸にするなんて」

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