余談(作者独白)


 最強の人間。

 普通は 人外>>>人間 くらいでデカい能力差があるはずの世界なのに、全然ものともせず人外ばっさばっさと薙ぎ払えてしまう規格外の怪物。人の皮を被った人外。本人はもう言われ慣れてて受け答えすら億劫になっている模様。

 実際問題この人だけは特別仕様で、何代かにひとり現れれば奇跡だなくらいのトンデモ確率をブチ当てて爆誕した、人間の頂点みたいな御方。たぶん本気になれば後光くらいは差す。

 出来ないことがない、を過言無く押し通せる豪傑。流石にこれは無理でしょ?も平然と行えてしまう神様の一歩手前に踏み込んだ実力を持つ。


 強過ぎてどうしたらいいのか作者ですら困り果てているチート。でもこれでも一応は弱くなっている。

 全盛期は彼女がまだ童だった頃で、今はそれに比べて出力比は1/4くらいまで落ち込んでいる。だから昔は今よりもっと手が付けられなくて、その気になれば単独で世界征服できるくらいだった。

 救いだったのは彼女が自分の力に驕らなかったことと、悪用しようとする性根を持ち合わせていなかったこと。

 でもなんでも出来るせいで何もかも面白くなくて子供の頃からかなり死んだ眼をしていた。

 大事なものは今も昔も家族。昔は兄姉、今は子。

 その日向夕陽という子供が日和唯一最大の弱点で、彼女を殺すなり封印しようとするのなら夕陽の存在を最大限利用するしか手は無い。


 本来の姓は『陽向』。特異家系と呼ばれるかなり特殊な一族で神童として強大な人外との決戦兵器として重用されていた過去がある。

 兄姉以外は日和を人として見ていなかったので子供の頃から人間の醜悪さに辟易していた。人も人外も等しくどうでもいいものと括って見ている。

 退魔の加護を溢れるほどに受けており、受け止め切れている器も『陽向』の歴代最高峰の頑強さ。意識せずとも見るだけで相手の正体を看破できてしまうのも、流入してくる退魔の記憶が自動でスキャンして解答を出してくる為。

 本人は迷惑しているし、全て棄てられるものなら即刻棄てている。


 力衰えた今でもその神域に近い個体の存在は人と人外の争乱を押さえ込む抑止力として機能している。本人もそれを自覚しているので、溜息を吐きながらもそれらしく振る舞って両陣営に睨みを利かせている。

 嫌々渋々の人生を彩っているのは養子にして愛弟子の少年夕陽。彼の成長を見届けることが生き甲斐となっている。冗談抜きに夕陽の為なら躊躇いなく世界を見捨てるくらいには溺愛している。夕陽のこととなると自身の命すらも惜しくは無いし、それこそが日向日和という最強を降せるたったひとつの突破口でもある。

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