チエコ先生とキクちゃんの水平思考クイズ【18】『デスゲームの結末』【なずみのホラー便 第105弾】
なずみ智子
チエコ先生とキクちゃんの水平思考クイズ【18】『デスゲームの結末』
【問題】
生き残ることができるのは、たった一人。
デスゲームの対象となったのは、とある男子高校に通う二十四名の生徒でした。
世間から隔離された一室へと集められた彼らは、司会者より「今から皆さんには殺し合いを……」といったデスゲームにお決まりの説明を受けます。
しかし、彼らの誰一人として、司会者の話など真面目に聞きません。
彼らの態度に業を煮やした司会者は、これがマジモンのデスゲームだと分からせるために、一番前の席に座っていた生徒を殺害しました。
それから約一時間後、司会者ならびデスゲームの仕掛人たちは全員、物言わぬ骸と化し、血の海で転がっていました。
血は床のみならず、壁や天井にまで飛び散っているという凄惨な状況でした。
さて、デスゲームを仕掛けてきた側をコテンパンにした男子生徒たちとは何者だったのでしょうか?
【質問と解答】
キクちゃん : 犠牲者は一名だけ出てしまっていますが、それ以上の犠牲者を出すことなく、彼らは仕掛け人たちに一矢を報いたと。卑劣で残酷なものとなったであろうデスゲームを約一時間で終わらせることができた彼らは、規格外の天才もゴロゴロいるであろう超高偏差値の男子高校に通う人たちだったんでしょうか?
チエコ先生 : NO。彼らは優れた頭脳によって、デスゲームを終わらせたわけではないわ。
キクちゃん : 違いましたか。”男子高校”と聞くと、私はN高とかK成とかを真っ先に思い浮かべてしまいます。優れた頭脳でないとしたなら……非常に運動神経の良い人たちが奇跡的に集まっていたんでしょうか? それこそ、各種スポーツ競技の全国優勝レベルがゴロゴロいるほどの……
チエコ先生 : NO。……ではあるけど、運動神経のすこぶる良い男子生徒も何人かはいたのよ。でも、彼らはスポーツ競技に打ち込んでいるような生徒たちとは明らかに雰囲気が違っているわね。
キクちゃん : 優れた頭脳でも運動神経でもないとしたら、何だろう? ……あ! もしかして、見せしめとして唯一殺害された男子生徒が人気者というか、残された彼らに盲目的に崇拝されており、皆を一致団結させる存在だったんでしょうか?
チエコ先生 : 関係ありません。見せしめとして殺害された生徒が誰であれ、その犠牲が最初の引き金となって、彼らに血の雨を降らせることになっていたと思うわ。
キクちゃん : そうなるとなぜなんだろう? 彼らは何者なんだろう? うーん、うーん……
チエコ先生 : 悩んでいるキクちゃんに、ヒントをあげるわ。問題文中には『しかし、彼らの誰一人として、司会者の話など真面目に聞きません。』とあるでしょう? その時の彼らの反応を一部お届けするわね。
――――――――――――――――――
「あぁん? 何ふざけたこと言ってんだ、コラァ!!」
「あんま舐めたマネしてっと、ブッ殺すぞ!!」
「つぅか、てめえ誰だよ? どこの者(モン)だ?!」
この三人の声の他にも怒声が飛び交っており、椅子や机を蹴り飛ばしたと思われる音までもが多数聞こえてきた。
――――――――――――――――――
キクちゃん : …………こ、怖い。…………ということは、彼らは気が荒くて喧嘩っ早い、いわゆる巷ではDQNと呼ばれているような人たちだったんでしょうか?
チエコ先生 : YES。正解よ。デスゲームの仕掛人たちは、荒れ狂っているにも程がある男子高校の生徒たちをデスゲームの対象に選んだの。でも、選んだ対象が悪かったわね。喧嘩慣れしていて、血の気が多いうえに歯止めも聞かず、容赦することを知らない男たちが集団になった時ほど恐ろしいものはないわ。小学生や中学生ならまだしも、高校生にもなれば成人男性とほぼ変わらないでしょうし。まあ、今回は命を弄ぼうとしてきた側に100%の非があって、彼らだって殺らなきゃ殺られていたわけだから、デスゲームの結末としてはこれで良かったのかもしれないわ。『血は床のみならず、壁や天井にまで飛び散っているという凄惨な状況でした。』ということになってもね。
キクちゃん : ……一体、どっちがデスゲームに強制参加させられてしまったのか、分からなくなってしまったんですね。
(完)
チエコ先生とキクちゃんの水平思考クイズ【18】『デスゲームの結末』【なずみのホラー便 第105弾】 なずみ智子 @nazumi_tomoko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます