Go with the flow
あるふぁべっと
Go with the flow
女
彼女は浮気を肯定していた。さらには、浮気したら他人に責められるのが気持ち悪いと言っていた。彼女は随分と飲んでくたくたになっていた。
「もう帰る? 飲み過ぎじゃない?」
なんだかんだと唸る彼女をよそに会計を済まして、彼女を抱えて店を出た。そうして歩いているうちに彼女は背後から抱いてきて、
「……ほんとウザい、そういう奴らって。わかるでしょ?」
と聞いてきた。
「うん、そうだね。自分の好きにしてんだから〇〇は偉いと思う」
接客
肌の汚い爺さんに煙草をくれと言われた。が、その銘柄は売れ尽くしていて、もうありませんと応えたら爺さんは怒りだした。倉庫にあるんじゃないのか、ちゃんと確認したのか、責任者を呼んでこい、……。俺は言われた通りに従って、謝り、あり得ないのに探し、店長に電話した。やがて店長がわざわざ出勤して、店先で爺さんと談判した後、店に帰ってきた。
「……すみません、わざわざ呼んじゃって」
「しかたないよ。ああいう人もいるんだから……」
友達
旅先でゴーカートをすることになった。しかし台数が限られていて、俺達が乗ると一人が残らねばならなかった。一人が「どうする?」といって振り向いた顔に、乗りたさに誰かが諦めるのを期待する色を察した俺は、
「じゃあみんな乗れば? 俺その走ってる写真撮るよ」
と諦めた。
俺はゴーカートが衝突を繰り返しつつ、コースをおかしく回るのを目で追いながら、友達の俺に対する罪悪感を考慮して、みんな諦めたほうが良かったんじゃないかと思った。あるいは誰も罪悪感など覚えていないかもしれないが――それはそれで構わないが――なんにせよ、こうして思考を巡らせていないと、平静を保てないような気がしていた。
Go with the flow あるふぁべっと @hard_days_work
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