第14話 アルフレッドの帰還 2
……最近のアルフレッド様って、ますますアルフさんっぽくなってきたよね?
逃げるように部屋から出て行くランヴァルドを見送って、改めてアルフレッドに向き直る。
以前から故意にアルフの真似をしていたアルフレッドだったが、王都でもいつの間にか入れ替わっていたように、お互いがお互いとして振舞われると、どちらがどちらなのか、私には見分けることができなかった。
「さて、話が逸れたが……」
「なんのお話でしたっけ?」
「……私がそろそろ王都へ戻る、という話だ」
思いだしたか、と頬を片手で摘まれる。
加減されているためそれほど痛くはないが、そろそろ本当に顔が伸びそうだ。
「随分と長く王都を離れられていましたからね。そろそろお帰りになられる頃合でしょう」
レオナルドから聞いた話でしかないが、アルフレッドは私が誘拐されてから、私の救出の責任者としてグルノールへやって来た。
最終的な決定を下せる人間が現場にいた方がレオナルドたちも動きやすいだろう、ということでアルフレッドが来たのだが、その際に預かった権限の大きさから、アルフレッドが次の王座につくことになったそうだ。
権限を振り回したい時だけ振り回して、責任を取りたくないという我儘は通じない、と。
……私が誘拐されたせいで、運命が変わった人が大勢いるよね。
できれば良い変化が多いといいのだが、すぐに思い浮かぶのは一例だけだ。
アルフレッドには申し訳ない気もするが、フェリシアは王配が務まる相手よりも、お気に入りの騎士と婚姻を結ぶことができた。
その代わり、アルフレッドは保険のつもりでいた王位につくことになり、アルフ、アルフと言ってはいられなくなってしまった。
カリーサは死んでしまったし、アーロンは視力を失い、
本当に、さまざまな人間の運命が変わりすぎていた。
「……私としては、クリスティーナを一緒に王都へ連れて帰りたいのだが」
「残念ですね。わたくしは今、外へ出ることができませんので、遠出は不可能です」
国境に近い砦の街へ置いておくよりも、やはり国境から離れた王都で暮らしてほしいらしい。
一度誘拐されてしまった手前、あまり強く拒否はできないが、レオナルドから離れるつもりはないので、私の王都行きも当分はない。
前世での成人年齢である二十歳まではレオナルドといる、と言ってあったが、誘拐されていた二年間の補填も入れて二十二歳までグルノールにいることはできないだろうか、とまで考えているぐらいだ。
順調に、私のブラコンは悪化中である。
一人で王都になど、行きたくはない。
「外出できても、レオナルドお兄様から離れるつもりはありません」
「レオナルドの呼び戻しについては……そろそろ父上が検討を始めているだろう。クリスティーナを王都で保護した方が安心できるのと、レオナルドも一時期に比べれば落ち着いてきたからな」
そろそろ王都へ戻してもいいのではないか、と考えているが、今はズーガリー帝国の動きも気になるため、すぐの話ではないようだ。
「帝国の動きが気になるというと……アルフレッド様が煽ったからでは?」
このあたりの話もレオナルドから聞いている。
私たちがズーガリー帝国から脱出する際に、アルフレッドがイヴィジア王国側の国境へと兵士を集め、ズーガリー帝国内での不信感を煽り、国境へと兵を集めさせることで神王領クエビア側の国境を手薄にしたらしい。
レオナルドからは検問や兵士の数が明らかに減って動きやすかった、と聞いているが、ズーガリー帝国としてはいい迷惑だっただろう。
戦を仕掛けてくるかと警戒して兵士を国境へ向かわせれば、イヴィジア王国の第三王子が兵士を率いて国境付近で演習をしていただけだ、というのだ。
馬鹿にされた、と思っていても不思議はない。
「……私が煽ったことも一因ではあるが、そもそもズーガリー帝国自体が限界にある。民の不満を逸らすために、そろそろまた仕掛けてくる頃合だろう」
「戦争で暴れさせて、民の不満を発散させる、ということですか?」
「不満を一時的に解消するより、自国を豊かにする政策を考えればいいと思うのだがな……」
「戦を仕掛けるにしたって、お金はかかりますしね」
ズーガリー帝国の皇帝はそこまで阿呆なのだろうか、と被り直していた
本当に、油断をすると一瞬で脱げる
「今の皇帝は、驚くぐらい阿呆だぞ。報告によると、貴重なニホン語の読める転生者であるティナを拷問にかけて殺しかけている。先の転生者を殺したのも、今の皇帝だな」
「うわぁ……本当に阿呆なんですね、皇帝」
私のような子どもを拷問にかければどうなるか、なんて少し考えただけでも判る。
私には体力も筋力も根性もないので、すぐに死ぬだろう。
万全の状態であってもすぐに死ぬ自信があるが、ズーガリー帝国にいた頃の私といえば、今より体力も筋力も落ちていたはずだ。
そんな私を拷問にかけるなど、最初から殺す気だとしか思えない。
「そこまで阿呆なら、いっそ首を挿げ替えた方がよくないですか?」
「残念ながら、阿呆ほど保身には長けているようだ」
ズーガリー帝国は皇帝の力が強く、皇位を狙う人間は多い。
六十年程前に先の皇帝が崩御し、それをきっかけに皇位継承権を持つ親族が互いに暗殺者を送りあい、当時三歳だったエデルトルートを残して皇帝一族は一度絶えかけていたらしい。
この救いがたい事態を喜んだのは、これまで皇帝の側にいた重臣たちだ。
国政など何も判らない三歳のエデルトルートを皇位につけ、幼い皇帝を支えるという大儀の下に国政を牛耳った。
と、ここまではよく聞く話だ。
そして、これで終わらないのがズーガリー帝国である。
自分たちの都合がいいよう愚かに幼帝を育てた重臣たちは、その幼帝によって首を刎ねられた。
罪状としては、反逆罪である。
自分たちに都合がいいからとろくな教育も与えず、我儘放題に甘やかして育てた幼帝に、気まぐれに苦言を呈して首を刎ねられたのだ。
国政を牛耳りつつも国を動かしていた重臣をすべて排除し、自由を得た皇帝は、自分が思うままに国を動かした。
その結果が、今の倒れかけたズーガリー帝国である。
当然、無茶苦茶な政策ばかりを行う皇帝を排除しよう、という動きは何度もあった。
そのたびにエデルトルートは強引な方法で事態を収束させ、代わりに国土を疲弊させていく。
年頃になると、エデルトルートには父親の判らない子どもがいたらしい。
その子どもが引き金となって、暴君エデルトルートを廃し、子どもを帝位につけようという計画が持ちあがったのだが、これもエデルトルートが収束させている。
その収束方法は『担ぎ上げられようとしている我が子を殺す』という単純で、しかし、まともな神経をしていたら思いついても実行には移さないものだった。
この事件により、子どもができれば自分の命が脅かされると、エデルトルートは学んでしまったらしい。
「ここからは密偵の情報による推測混じりだが、皇帝は二人目の子を秘密裏に産み育て、その子どもが年頃になった時に相手を宛がって孫を産ませた。孫を産んだ子どもは、帝位を脅かす存在としてすぐに処分された、という噂がある」
そして孫が年頃になった時にも、同じような噂が流れたようだ。
適当な相手を宛がって曾孫を産ませ、帝位を脅かす存在として孫の方は処分されている、と。
エデルトルートの存命中に曾孫が年頃になれば、また同じ噂が流れるのだろう。
「できるだけ長く自分が帝位にいるために、皇帝エデルトルートにとっては帝位を継げる子や孫は邪魔者でしかないようだな」
「……本物ですね」
本物の阿呆が、帝位についているらしい。
これではズーガリー帝国の国民たちが可哀想だ。
「仮にそれで死ぬまで帝位にしがみ付いていられたとして、次の皇帝になる人はまた何の判断もできない子どもってことになるのでは?」
「現皇帝が似たような過程で玉座についたから、そのあたりは気にしていないのだろう。というよりも、自分が死んだ後のことまで考えられる人物なら、国を荒れさせるようなことはしない」
「……ですよね」
聞けば聞くほどズーガリー帝国という国は、国として終わっている。
ほんの少しきっかけさえあれば、あとは崩壊するだけの状態だろう。
「理想としては、全体が潰れる前に内部から分裂して、細かくなってほしいところだが」
「こちらから仕掛けて潰したりは?」
「奪う土地に魅力が無い」
潰れるのを待つより、こちらから潰しにいけばどうか、と聞いてみたところ、うま味がないとアルフレッドには一蹴された。
ズーガリー帝国は街道もろくに整備されておらず、新しい農法を試みる体力もなく、土地は荒れ果て、実りも少ない地らしい。
もしもイヴィジア王国が戦を仕掛けて土地を奪ったとしても、農地を整備して収穫を増やし、税が取れるようになるまで十年以上かかるだろう、というのがアルフレッドの目算だ。
そうまでして育てた土地を、また戦で奪われることになれば目も当てられない。
「腹いせに帝国を滅ぼすのは簡単だが、その後始末が割に合わない。少なくとも、父上と私の代では、積極的に戦を仕掛けることはないだろう。……まあ、帝国についてはクリスティーナが二十歳になるまでの五年……もう少しで四年か。あと四年レオナルドを砦において様子を見る、といったところか」
それまでに外へ出られるようになっておけ、とアルフレッドが言うので、私のトラウマは四年以内に治さなければならないらしい。
亀の歩みで努力します、とだけ答えておいた。
「レオナルドはともかくとして、そろそろアルフは連れ帰りたい気がするが……」
「アルフさんはレオナルドお兄様の相棒ですから、連れて行ったら駄目ですよ」
ある意味で
私の言っているアルフは、今のアルフレッドである、と。
「……アルフさんたち、また入れ替わってるのですか?」
「もともとが入れ替わった状態だったらしい。今の状態が本来の立場だそうだ」
「つまり、アルフさんの方が王子さまだった、ということですか?」
真実はこれまで聞いていた話と逆だったらしい。
言葉の意味は判るのだが、いまいち理解が追いつかない。
……あ、でも、ここしばらくの違和感の正体はわかった。
妙にレオナルドとアルフレッドが親しげだと思ったのは、アルフレッドだと思っていたのが『アルフ』だったからだろう。
このアルフも、本当はアルフレッドだったというのだから、混乱する。
とにかく、グルノールへ帰ってきてからずっと『アルフレッド』だと思っていたのが、レオナルドの補佐をしていたアルフなのだそうだ。
それはたしかに、親しげにも見えるはずである。
レオナルドとアルフは、私がレオナルドに引き取られる以前からの友人なのだから。
……王都でエヴェリーナ様が「息子がなかなかグルノールから帰ってこない」って言ってたのも、本人に「たまには顔を見せろ」って愚痴を言ってただけなんだね。
アルフとアルフレッドの入れ替わりを知ってしまえば、なんということはない。
あれはアルフと入れ替わったアルフレッドへの愚痴ではなく、目の前にいる自分の息子へあてつけていただけなのだ。
……本当のアルフさんが、アルフレッド様の結婚について「元の鞘に収まっただけ」って言った理由もわかったよ。
アルフレッドの妻となったアリエルという女性は、もとはアルフの婚約者だった。
この時のアルフが、今のアルフレッドなのだから、確かに『元の鞘に収まっただけ』である。
今のアルフにも言われたが、私が心配するようなことは本当になにもなかったのだ。
「アルフの帰還については、レオナルド次第だな。レオナルドの補佐を目的として父上が付けたのがアルフだ」
「そうなると、結局は四年後あたりになりますか?」
「そうだな。私としては、そろそろソラナをなんとかしてやりたいと思っているが……」
なぜに、ここでソラナ? と首を傾げ、思いだす。
王都でアルフレッドが言っていたはずだ。
ソラナをアルフの嫁にと考えている、と。
あれは意外に本気だったのだろう。
「……あれ? それだとソラナが苦手な元アルフレッド様な現アルフさんと結婚することになるような……?」
「ソラナが苦手としている『アルフレッド王子』は、主に私の方だから安心しろ」
お互いがお互いとして振舞う際に、よりお互いに見えるように、と演技は少々過剰気味だったという自覚はあるらしい。
その結果として、ソラナに対して『意地悪で無茶振りをするアルフレッド王子』という像が生まれたようだ。
……でもそれだと、最初からアルフレッド様はソラナにちょっぴり意地悪だった、ってことでは?
そんなことに気が付いてしまったが、あえて指摘はしないことにした。
指摘はしなかったのだが、なぜかアルフレッドには頬を抓られる。
内心が顔に出ていたらしい。
「いひゃいれすよ」
「いや、また何か失礼なことを考えている顔をしていたから」
「冤罪です。失礼なことなんて考えていません。ただちょっと、もともとアルフレッド様がソラナに意地悪だったんだな、って思っただけです」
「それはそうだろう。『アルフが大好きなアルフレッド』というのも、もともとは私のことだからな」
「ええっと……?」
アルフとアルフレッドの入れ替わりのせいで、私の中で無駄に混乱している気がする。
まずは情報を一つひとつ整理しよう、と頭の中だけでは追いつかなくなってきたので、指を使い始めた。
「アルフさんとアルフレッド様が入れ替わっているけど、これが本来の姿。お互いにお互いの演技をしていたので、性格は元に戻っても変わらずアルフさんとアルフレッド様のまま」
そのアルフレッドはアルフが大好きで、ソラナに意地悪だったということなのだから、と並べてようやく気が付いた。
「……アルフさんは昔からソラナが好きだったのですね。それでアルフレッド様はソラナに意地悪だった、と」
「そういうことになるな」
杖爵の娘であるソラナがアルフレッドに
アルフがグルノールへ出向している間にソラナが他所へと嫁いでしまうことがないように、と自分の下に置いたそうだ。
ソラナの実家としては、女中といえども王子の下に娘がいるというのは美味しい話になる。
ソラナがアルフレッドのお手つきにでもなれば、娘の腹から王族が生まれる可能性もあるのだ。
「問題は、結婚させてグルノールへソラナを送るか、アルフが王都へ戻ってくるのを待つかになるが……」
「レオナルドお兄様次第だと言うのなら、王都に戻ってから、ということにすると、あと四年はソラナが待たされることになっちゃいますよ」
「その四年の間に、アルフがソラナを口説けばいいんじゃないか?」
「……うん? 何か、変じゃないですか?」
アルフレッドの言い方では、アルフはまだソラナを口説き落としていないように聞こえる。
アルフレッドはすでにソラナを確保しているというのに、だ。
「ソラナはアルフが元婚約者をまだ想っていると思っているが、ソラナの思うそのアルフは私で、私はアルフレッドとして元婚約者を妻に迎えた」
「それは……ソラナの中で面倒なことになっている可能性が……?」
アルフとアルフレッドの入れ替わりを知らなければ、アリエルという一人の女性を愛しているアルフレッドは同じ人物だが、ソラナ視点としては二人の男性がアリエルを愛しているように見えるだろう。
二人のうち一人は無事愛する女性と結ばれ、あぶれた一人が自分に求婚など始めれば、それはそれで心中は複雑になるはずだ。
「……普通に二人が入れ替わっている、って話したらいいのでは?」
「それはそれで、ソラナが混乱しそうで楽しいことになる。自分が好きになったのはアルフなのか、アルフレッドなのか、とな」
「ああ、それは確かに? なんだか、すごく複雑なことになっていますね」
私でもアルフとアルフレッドがいつからいつまで入れ替わっていたのか、なんてことは判らない。
実行可能かどうかといった時期などの要素を加味すれば、「この頃からかな?」という予想ぐらいはできるが、絶対にこの時期から二人が入れ替わっていた、と言い切る自信はない。
たった数年の付き合いでしかない私でさえもこうなのだから、アルフレッドたちと幼馴染らしいソラナ視点で考えてみれば、二人が入れ替わっている期間についてはもっと複雑になるはずだ。
「もともとは危険を避けるための入れ替わりだったはずなんだがな」
危険は避けられたが、人間関係は複雑にしてしまった。
チャドウィックが排除できた今、絡まってしまった人間関係はゆっくりと解いていくつもりらしい。
「アルフさん……アルフレッド様は、本当に王都へ帰ってしまわれるのですか?」
「レオナルドに付けられた補佐役は、『アルフ』の方だからな。生まれたばかりの娘がいるのに、あまり長く王都を離れてもいられない」
そろそろ愛想を尽かされるのではないかと、王都から手紙が届くたびにビクビクしているぞ、と言いながらアルフレッドは肩を竦める。
アルフレッドなら愛想を尽かされてもまたすぐに惚れ直させてみせる、とか言うかと思っていたのだが、子を持つ父親としては、一時でも妻に見放されたくはないのだろう。
「……ちょっと寂しくなりますね」
「そう思うのなら、一緒に王都に来るか?」
また離宮に住めばいい、と言って王都行きを勧めてくるアルフレッドに、レオナルドと一緒でなければ嫌だ、とお断りしておく。
私を動かしたければ、レオナルドと一緒であることが絶対条件だ。
「言い換えると、レオナルドと一緒なら、私と一緒に王都に来てもいい、ということになるな」
「言い換えないでください。ずるいですよ」
レオナルドはズーガリー帝国の様子見で、しばらくは動かせないと話したばかりだろう、と指摘する。
レオナルドは砦から動かせないはずだ、と。
「帝国の脅威自体は、レオナルドが黒騎士になる前からあったからな。絶対に動かせないというわけではない」
「でも、何かあった時の初動は絶対に遅くなりますよ」
「それで言ったら、最初に動くのはレオナルドじゃない。砦の黒騎士……位置を考えればメール城砦の黒騎士だな」
メール城砦のレストハム騎士団といえばレオナルドが団長ということになっているが、レオナルドが主にいるのはグルノール砦なため、実質的に騎士団を預かっているのは副団長のユルゲンだ。
レオナルドが団長を務める今の状態でも、初動は遅れる。
それならば、レオナルドが王都に戻って誰か別の黒騎士が騎士団長としてメール城砦からズーガリー帝国を見張った方がいい、という考え方もできる。
むしろ、そちらの方が合理的とも言えた。
……まずい。何かないかな? レオナルドさんじゃないと駄目な理由。
このままではアルフレッドに言い包められ、王都へ一緒に行くことになってしまう。
何か明確に断れる理由がないだろうか、と悩んでいる間にアルフレッドが噴き出した。
私があまりにも真顔で考え込んでしまったため、その顔が面白かったらしい。
「そんなに心配しなくとも、クリスティーナが外へ出られるようにならなければ、実行しようのない話だ」
だから今すぐ連れて行かれる、と真顔で悩む必要はない。
体力づくりをしているところとはいえ、まだまだ不健康な私だ。
トラウマがなくとも王都までの長旅になど耐えられるはずがないので、連れ出すことは難しい、と。
「……とりあえず、クリスティーナがレオナルドと王都にくれば、レオナルドは白銀の騎士に戻ってクリスティーナの護衛に付くことになるだろう」
「なんですか、そのレオナルドお兄様の理想の職場」
仕事で私に一日中付いていられるだなんて、
冬もレオナルドと一緒に過ごせるぞ、とトドメを刺されて、少しだけ本気で王都行きを考えてしまう。
それはちょっとどころではなく魅力的な話だ、と。
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