完璧崩れる

 そこまで回想し、もう少し良い弓を引けなかったのだろうかと、苦い思いが胸に広がった。

 もっと弓構えで狙いを定めておくべきだったし、引き分けで狙いが揺らいだのも痛手だった。


 過去は変えられないと分かっていながらも、あの時こうしていればという未練が執拗につきまとった。十月にある次の大会に向けて練習しなければいけないと分かっていても、体が動かなかった。


 ずっと目指していた完璧が崩れた今、何を目的に歩めば良いのか分からない。千鶴とは家で顔を合わせても会話をしない日が続いた。


 家の廊下ですれ違う時に気まずい顔で目を逸らすのは胸が痛かった。過去に何度か喧嘩をしたことはあるが、何も話さないのは精精二日で、ここまで長引くのは初めてだ。青葉とも学校がないのを良いことに顔を合わせていなかった。


 一日もう一日と日が過ぎる毎に、このままではいけないと焦る一方で何をしたら良いのか分からない感情が心を支配した。

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