第64話 魔武器を求めて12

「もう倒してきたのか!?」


その日のうちに倒してくるとは思ってなかったイシュメルは、ミスリルゴーレムの素材であるミスリルを見て目を見開いた。


「半日で倒して帰ってくるとは…。

 俺の予想ではBランクエリアでもう少しレベル上げしてからだと思ってたんだが…。」


「死にかけましたけどね。」


「ハハッ!

 そうか!

 まあ、それぐらいじゃなきゃ試練にならんからな!


 とりあえず今日は休んで、話の続きは明日にしよう。」


そう言うとイシュメルは何もない空間から食料を出し始めた。


「え?!

 それどこから出したんですか?!」


「ん?

 【アイテムボックス】を見るのは初めてか?

 まあ★4のスキルだからな!」


イシュメルはちょっとドヤ顔だ。


「【アイテムボックス】っていうスキルなんですね!

 初めてです。」


「便利だぞ〜!

 さあ、続きは飯を食いながらにしよう!」


「ありがとうございます!!」



イシュメルが出した食事は、ロックたちのような保存食ではない。


まるで出来立てのような温かい料理だ。


「どうして温かいまま保存できるんですか?」


「【アイテムボックス】の中は時間が止まってるから、入れた時の状態で保存できるんだ。」


「すごい便利ですね。

 旅するときに1人いたら助かるだろうな〜。」


「臨時のパーティメンバーとしても、かなり高額の報酬をもらえるぞ。

 俺はやったことないがな。」


「イシュメルさんはずっと1人なんですか?」


「ああ。

 武器と防具作ることしか興味ないからな。」


「こんなモンスターのいるエリアの中に住んでるってことは、相当お強いんですか?」


「あ〜、そうだな…。

 面倒だから俺のスキル見せてやるよ。」


「いいんですか!?

 人に見せるのはリスクが…。」


「まあ今までの会話でほとんどバレてるしな。

 あ、お前らのも見せろなんて言わないから安心しな。」




++++++++++++


【神業師 ★★★★★】・・神業といえる技術で装備を創作できる。武器や防具を装備したときに、その性能が2倍になる。


【アイテムボックス ★★★★】・・異空間の中にアイテムを収納できる。


【生活魔法 ★】・・生活に必要な様々な魔法が使える。


++++++++++++




「「装備性能が2倍!?」」


「そうだ。

 普通の冒険者と比べると、攻撃力や防御力が常時1.5倍になってるようなもんだな。」


「それは強力ですね…。」


「いろんな武器装備したくて、レベル上げも頑張ったからな。

 Cエリアぐらいなら寝泊まりしても問題ない。

 スキルで壁や住処も加工できるから、なかなか快適だしな。」


「装備だけじゃないんですね。」


「スキルの説明には書いてないこともできたり、逆に制限あったりするからな。

 あんまり説明だけを頼りにすんじゃねえぞ。」


「以前も言われました…。

 勉強になります。」



他にも色々と勉強になる話ができた。



例えば、現在レベル70台の素材もなかなか手に入らないこと。


S級冒険者少ないから、だそうだ。


魔族との戦いで減ってしまっているんだとか…。


現在、S級冒険者は国に1人が平均だが、帝国だけが飛び抜けて多いらしい。


S級冒険者がいない国もあるので、有事には主に帝国から派遣されるそうだ。



イシュメルも人と話すことが久しぶりだったのだろう。


惜しみなくなんでも答えてくれた。



そして、翌朝。




8日目。


「あ〜、ねみい。

 夜更かししちまったな。」


「遅くまで話しちゃいましたね。」


「う〜し、じゃあ早速本題に入るか。」

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