第13話 真面目に、地味にレベル上げ

最弱モンスター、スライムとプルプルな死闘を繰り広げたロックとティナ。


そう、レベル上げは甘くないんです…。



ロックはティナに衝撃的な事実を伝えた。



「これだけ苦労して倒したわけなんだけど…、

 さっきの戦闘で僕が100、ティナは40ちょっとしか経験値入ってないんだ…。

 次のレベルまで1000以上必要なんだけどね…。」


ティナはショックを隠せない。


「よ、40…。

 カイルさんといるときはレベルすぐ上がったから、落差が辛いわね…。」


「でも、こういった経験自体が冒険者として必要な地盤を作っていくんだよね。

 地道なことが大事なんだと思う。」


「うん。

 わかってたんだけど、思ったより少なくてびっくりしちゃった。」


「ティナはLv7だから、スライムだとマイナス補正大きくかかっちゃうしね。

 付き合わせちゃってごめんね。」


「ううん。

 ロックのおかげでこうやって冒険できてるんだから。

 そんな寂しいこと言わないで?」



(こういう仕草が可愛すぎる…。)



「あ、ありがと!

 僕のレベルが上がれば、【成長促進】スキルで同レベルのモンスターより強くなるはずだから!」


「うん!

 なんたって★5のユニークスキルだもんね!

 ひとまず私の経験値は気にせず、がんばりましょ!」


ということで、なるべくロックがダメージを与える作戦でいくことになった。

休憩してロックのHPも回復したので、次の獲物探しをスタートした。






モンスターの先手を取るため、【隠密】スキルを使ったロックが先行して進んだ。


MPを消費しないスキルなのはすごくありがたい。



ちなみにMPは寝ないと自然回復しない。


能力UPのスキルを使えるのは、ティナがあと2回、僕が5回だ。


無駄遣いはできない。



次からは単体のモンスターを狙うことにした。



さっきの作戦


 ロック、【隠密】で接近

  ↓

 ティナ、なるべく遠くから狙撃

  ↓

 ロック、矢が命中後、後ろから斬る

  ↓

 ロック、距離をとってティナにトドメ刺してもらう


という流れで。



これならさっきみたいにLv4の強い個体でも十分倒せる。






(スライムが良かったけど…、あれは…、イモリスか?)



隠密で先行するロックがモンスターを発見。


イモリスは小さなトカゲとリスが混ざったようなモンスターだ。


レベルは5くらい。



ティナのところまで後戻りして、小声で相談する。


「ティナ、レベル5くらいのモンスターがいた。

 5だとすれば、2人で2〜3回ずつ攻撃すれば倒せると思う。

 素早さが高くて耐久力なければ、2回ずつでいけるかも。

 

 もし、Lv6だと思ったら、2人ともスキルを使えば同じプランでいけそうだよ。」


「わかった。

 でも、気をつけてね。」


「うん。

 ありがと!」




(<隠密>。)



ロックが再び隠密を発動。



ティナが遠くから矢を放つ。



シュッ…、カツッ。



「あ!!」



イモリスは音も立てずに動いて、ティナの矢を避けた。


Lv7のティナの攻撃を簡単に…。


おそらく素早さの値が高い上に、Lv6だ。



「<全能力50%UP>!」



ティナはLv6だと判断し、スキルを発動。



再び狙いをつける。



器用さや素早さも上がるティナのスキル。


今度は動いているイモリスを射抜いた。


しかも、うまいこと木に貼り付け状態にできたようだ。



ロックは力をUPしてない状態で、イモリスを攻撃した。


動けないイモリスは、ロックが4度目の攻撃をしたあと、動かなくなった。




「ティナ、ありがとう!

 すごい精度だね!」


「スキルを使って、なんとか当てられたわ。

 あと20分間くらいはスキル効果があるから、今のうちに戦えたらいいけど…。」


「そうだね!探してくる!」





幸いにも、近くに例のプルプルがいた。


2匹。


「ティナのスキルが使えなくなったら、レベル上げは厳しい。

 だから、僕も使ってた方がいいね。」

 


「<力30%UP>

 <隠密>。」



2匹だったこともあり、今度は危なげなく勝利。



1匹はおそらくLv4。


もう1匹はLv3だったので、そっちはロックが1人でやっつけた。


むっつりタイムでなければ、素早さも上回ってるため、勝てる相手だ。



その後、イモリス1匹も倒した。


その際、ロックがダメージを受けた。



「スキル効果、切れちゃったわ。」


「むしろ、あの時間でこれだけ倒せたのは運がよかったね!

 近くにモンスターがいてよかった!」


「スキルの残り回数も心細いし、そろそろ戻りましょ。」


「そうだね。

 カイルさんも、もうきてる頃かな。」



念の為、【隠密】でロックが先行・警戒しながら待ち合わせ場所へ。


途中、Lv3のスライム1匹をロックが1人で倒した。



「この調子なら、次のレベル上げでレベルアップできそうだ!」


「楽しみね。でも、油断しないようにしなきゃね。」



「お〜い!」



「あ、カイルさんだ!」


「おつかれさん。

 戦ってる音が聞こえたから、お前達だと思って迎えにきたぜ。


 うん。

 怪我はしてないようだな!」


「ちょっとダメージ受けちゃいましたけど、ティナのスキルで回復できました!」


「まあ、無傷ってのは難しいわな。

 んじゃ、帰るか。」


「そうね。」



「カイルさんの獲物はそれ?」



ロックはカイルがどんな獲物を取ってくるのか、実は楽しみだったのだ。


「おう。

 さっき噛まれたのが腹たったから、ワニ公をぶん殴って解体してきたぜ。」


カイルの袋には、解体したワニダイルの肉が入ってるようだ。


「それに、歯や皮は装備の素材になるからな。

 お前達もレベルが上がったら、装備変えた方がいいぞ。」




装備にもランクがあり、ランクが高いほど強力だが、装備するには条件がある。



--------------------------


武器・・・攻撃力が自分の「器用さ」以下であること

     攻撃力が自分の「力」×2 以下であること

防具・・・防御力が自分の「体力」以下であること


--------------------------



ステータスが上がったら、装備お見直しをした方が良いのだ。


モンスターの素材から、同ランクの装備ができる。


自分で装備の素材を取ってくるのも、冒険者の醍醐味だ。




「よし、じゃあ帰るぞ〜。

 帰りは気が緩みやすいから、油断せんようにな。」



帰りはモンスターがいても避けて通った。


こうしてロックのパーティ、ラフリンクスの初冒険は無事終わったのだった。

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