LONG DRIVE

それは始めから 分かっていた事だった

高すぎる山の頂に 何もない事など


長すぎる旅の途中で 動機なんてものは風化して

それでも幾人もの先人が 今日までそうして来たように

見下すようにそびえ立つ あの頂を目指して

ステアリングを 握りしめた


目に映るのものは 雲にかくれたゴールだけ

アクセルを踏む足に 感覚はすでにない

飛び去っていく景色は 色の溶けた抽象画

思い返すまでもなく 過去になる


ーいつか辿り着くだろうー


歓喜もなく悲哀もない 静かな瞬間が

もう動く事のない 錆びたサスペンションを包むだろう

そして 振り返る

これはレースでは なかったのだと

長く伸びた一台分の軌跡が 沈黙のうちに語る

全ては この場所へ自分を連れてくる為だったのだと

その瞬間

眠りについたエンジンにそっと触れて 溜め息


それは 長いドライブだった

とても 長いドライブだった

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