『混沌の種』 東京都二十四区「トリカゴ」①【完結】
竹馬 史
東京都二十四区「新東京島」
東京都二十四区新東京島は、東京都南海上に位置する、六十三ヘクタールほどの面積を有する人口島である。通称、及び俗称は『トリカゴ』と呼ばれるのが一般的。
二0××年、異星人との戦争集結後、捕虜となっていた異星人達の居住区として利用する為に作られたが、二一××年現在は、異星人達の所謂二世や三世の時代であり、少数ではあるが地球人や地球戦争時代の異星人も新東京島に存在している。※1
地球人は有明から伸びる陸路、有明大橋を経由でのみ新東京島に出入りすることはできるが、異星人達は新東京島より出ることは現在は許されていない。一部の新東京島権力者や、日本に貢献した異星人等の特例は存在するが、余程のことがない限り、異星人達は生涯新東京島から出ることがないまま、その一生を終える。
電気や水道など、一般的ないわゆるインフラは整っているが、東京都はその予算に頭を抱え、二0××年より関東区域一部、神奈川県や埼玉県、千葉県などもその費用を負担するようになった。
この時の増税により一部の同民からは激しい抗議が行われたが、地球に置き去りにされてしまった異星人達を故郷に返すことも、極刑とすることもできず、現在まで抗議は黙殺されているのが現状である。
だが、抗議はあくまで一部であり、多くの同民からは同情的な意見が多く見られ、理解も得られているとの統計結果が発表されている。
ほぼ異星人達で構成されている新東京島では日本の法律は通用せず、異星人達による独自の治安体制が敷かれていたが、元より種族の違う異星人達は争う傾向であり、治安は悪化の一途を辿っていた。だが、二一××年に発生した「新東京島改革」によって現在はかなり治安が回復している。※2
異星人達の多くは地球人とほぼ同じ容姿であり、それらの異星人をヒュマノス、それ以外はアニマスと呼ばれ、どちらも地球人は持つことのできない特殊な能力を持っている異星人が多い。戦闘用の特殊能力を持つ異星人も存在する為、有明大橋には二十四時間体制で自衛隊が警備しており、有明大橋付近では不穏な異星人に対して許可無く発砲することが許されている。
近年では品外館という異星人組織が台頭し、ドラッグや売春、特殊なギャンブルなど、非合法な遊びができる島として一部の本土の人間には魅力的な場所であり、品外館は本土の地球人は金銭を落としていく為歓迎としているが、今も三万人程度の異星人が居住しており、人口密度がキロ平方メートル辺り四万七千人と高く、本土から新東京島へ行楽へ行った地球人が犯罪に巻き込まれるケースが多々報告されている。
そういった新東京島の在り方を教育団体や人権団体は批判を続けているが、東京都は余程のことがない限り静止すると公式に発表をしている。
※1 本土で犯罪を犯し、新東京島を隠れ蓑として逃げ込んだ地球人が殆どである。新東京島は事実上の治外法権な為、日本の警察が介入することが難しい。
※2 新東京島において伝説とされている人物『オルカ』が、新東京島の治安を乱す異星人達を粛正した事件、所謂オルカの乱を指す。
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