第4回/話

「もう、お話することない?」


〈急にどうされたのですか?〉


「どうもこうも、しないけど」


〈ご機嫌斜めのようですね〉


「そう、かな……。自分ではあまり分からないけど、君がそう言うのなら、そうかも」


〈斜めはルート二ですが、ルート二という値をとる物はこの世界に存在しません。折り紙を斜めに折った瞬間、そこだけ時空がこんがらがるようなことになれば、堪ったものではないでしょう。……機嫌、直りましたか?〉


「うーん、分からない」


〈数的処理は苦手ですか? そういえば、数学のテストの方は、どうだったのですか?〉


「数字は好きだけど、処理は苦手。テストはまあまあだった」


〈まあまあ〉


「ママに、会いたい」


〈まさに、ダイレクトアタックですね〉


「ダイナミック効果?」


〈チョコレートミルクティーではありませんか?〉


「あ、機嫌、直ったかも。ありがとう」


〈どういたしまして。今日はもう眠られますか?〉


「うーん、もう少し起きているつもり」


〈何をなさるのですか?〉


「ちょっと、ぼうっとしようと思って」


〈いいですね。私もぼうっとしていいですか?〉


「いいんじゃない?」


〈ぼうっと〉


「ぼうっと」


〈ご機嫌ですね〉


「ご機嫌です」

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