何もしなかった日の夕方。

@MARONN1387924

第1話

何をするにも憂鬱。

そんな日が誰しも1日くらいあるはず。


何かしないといけないのに暇。

暇だから何かしたいのに何もしたくない。

だから暇。


そんな矛盾に満ちた1日を過ごす時だって、きっとある。


もう高校生になって2年目。

周りはそろそろ進路どうするの?とか、夢とかないのって聞いてくる。


あるにはあるけど無い。


そんな矛盾が頭の中でずっとある。


別に夢ではないし、でも、夢かどうかと聞かれると夢なんだと思う。


でも、何故か自分の口から出るのはサラリーマン。

適当にそこそこの大学の名前を出して、経済学部に行きます。


そうやって言うと大人はみんな、夢のない子と言うが、文句は言わない。


別にそここその大学の悪口でも、経済学部の悪口でも、サラリーマンの悪口でもない。


夢があって、やりたいことがあって、そうやって選んだ人はみんな尊敬できる。


けど、自分はそんな尊敬できる人間かと言われればそうじゃない。


そこそこの大学を逃げ道に、経済学部を逃げ道に、サラリーマンを逃げ道に……。


そうやって夢が叶わなかった時の逃げ道を常に用意しつつ、心の中では夢が叶えばいいなと思い、今日も夢をみる。


対して叶える努力もしていないが、かと言って諦めきれた訳じゃない。


なんとか、目が覚めるといきなり夢に描いた自分になっていないかと思い今日も目をつぶった。


ああ、一日無駄にしてしまった。


何をするでもなく、ただ過ぎた。


なんともなしにSNSにでも、「今日も一日無駄にした気がする。萎え」とでも書き込めば、「それ」「同じ人おって草」みたいなイイネとリプが飛んでくる。


通知を見て、ニヤッとして、今日も一日無駄にした、でも、なんか、もう、いいや。


そうやって投げやりで、ヤケクソで、ふて寝する。


夢のために1日を使うでもなく、夢を諦めるための逃げ道に使うでもなく。


夢なんか叶わないと夢のために使うのをやめて、私には夢があると逃げ道のために使うのをやめた。


書いていることは自己満足で、自分さえ気持ちよくなればそれでいい、そんな自慰行為を毎日キメこんで、疲れたら寝る。


起きて昼過ぎだとそれだけで死にたくなる休日。


朝早く起きるだけで死にたくなる平日。


何もしない毎日にしないといけないことが多くて死にたくなる長期休暇。


夢を見つけなさいと言う大人。


そんな夢叶わないと言う大人。


そんな大人の意見にどっちにも賛成する私。


することは毎日なにかの粗探し。


自分の夢に対しても、その逃げ道に対しても、他人に対しても、他人の夢も、勉強も、何もかも。


今する勉強はいつ役に立つんだと、文句を言う。


役に立つ時が来ないと決めつけて文句を言う。


どうせ1年もしたら嫌でも役立たせないといけないと言うのに。


受験校は日に日に下がっていく。


日に日に上がるヤツを見て、嫉妬して、でも、それって自分が悪いと気づいて、自分なんかいなくなればいいと思う。


早く大人になりたいと思う。

けど、こんな奴が大人になっても……とも思う。


大人になったことも無いのに。


親のスネだけ齧って生きていたい。

けど、そんな勇気もない。


結局、そこそこ、そこそこ、と進んでいくと、そこそこ以下になるなんて口先だけ言いながら、そこそこ以下に今、進んでる。


やりたいことと、やりたくないこと。


やりたくない事をしないといけない社会が間違ってる。

私に苦を味わわせる、そんな社会が間違ってる。

それを強制する大人も国もみんな間違ってる。

でも、分かってる。

そう考えてる自分が間違ってる。


自分は今日もなんともない顔をして、その中にあるどうしようも無いものを隠して、あたかも普通の人間のように振舞っている。


みんな私を真面目だ。成績も運動も普通にできる。

そうやって言う。

誰しも私を見ると真面目で誠実そうだと言ってくる。

仲良くなれば、みんな仲間内では面白いと言ってくれる。


心の中のどうしようも無いものを隠しているのに。


もしかしたらみんな、どうしようも無いのかもしれない。


人間なんてそんなものだと言う人もいる。


私の友達も、家族も、学校の先生も、みんなどうしようも無いものを隠しているのかもしれない。


でも、そんなものは隠してるから分からない。

別にさらけ出すものでもない。


将来の不安なんてものは普通だという。

当たり前だ。将来なんて先のわからないものに不安を感じることは当然のことだ。


でも、その不安を打ち明けようとはみんなしない。


誰しも夢を語る時に恥ずかしがりながら語る。


夢って恥ずかしいものなのか。


私にはみんなの夢が眩しくて仕方ない。


自分の夢が眩しくないのではない。

私の夢と同じ夢を見る人はみんな眩しい。

けれど、私の「夢」だけ輝いていない。

光すら届かない深海の奥よりも暗い。

深い、冷たい。


夢のために努力しろよと成功者はみんな私に語ってくれる。


努力しないで、夢なんて叶わない。甘くないと。

天才ですら努力してるんだと、凡人のお前が努力しないでどうやって天才に勝つんだよと。

夢をやりたくないことの逃げ道にするなと。

やりたくないことを夢の逃げ道にするなと。


私は八方塞がりになってしまった。


夢の逃げ道も、やりたくないことの逃げ道も塞がれ、するのは塞がれた学生という、たった数年程度の空間で、自慰行為でもして、現実から逃げることだけ。


でも、現実から逃げた先には何も無かった。

結局、八方塞がりの道をあと数年で蹴破ってやらないといけない。


こんなの蹴破れないよと、私は今日も諦める1日を過ごした。


「1日ダラダラしてるならお皿洗いくらいしろ」と親に言われる。


その通りだ。お皿洗いもしないやつに一体何ができるんだろう。


いや、何も出来ない。


絶望なんてものじゃない。

そんな大層なものじゃない。


たった1人の高校生が、今日もやることもせず、一日ゲームをして、将来なんて分からないと言い続け、学校では真面目ちゃんをして、私には夢があると言いながら、夢なんてないよとみんなに言う。


ある友達が「俺は薬学部に入って薬剤師になる」と言った。

私は薬学部なんてとても賢いところで、それに大変だって聞くから、そいつには「お前が?」と私は言った。

そいつは「俺がだよ」と答えた。

私は「そう」とだけ答えた。


みんな私を置いて行ってしまう気がした。

置いていかれるのではなく、自分が足を止めているとはっきり分かりながら。


誰を見ても劣等感を感じる。

それはきっと私が見ているのは、芸能人、スポーツ選手、チャンネル登録者数がウン10万人、100万人そんな人ばかり目につくからだと思い、別にテレビに出てもない、チャンネル登録者がウン十万人とも居ない両親を見る。


でも、彼、彼女は私を育てるため、私の妹を育てるため、働いて、家事をしてそれはとてつもなくすごいことなんだと思う。


友達を見れば、前の話のように夢に向かって走る奴も居れば、現実的に、でも、毎日コツコツ勉強してる奴だっている。


そんな、言うのもなんだが、特別と言われる人でなくても、私は劣等感を感じざるを得ない。


不安、劣等感、自己否定。


自分を肯定できるのはすごいことなんだと思う。

いつか、みんな忘れている。

夢を否定する大人は、今している仕事が当たり前になっている。その仕事が夢であるにしろ、夢ではないにしろ、働いてるだけで褒められて当然だと私は思う。


みんな生きててえらい。

仕事してえらい。

呼吸しててえらい。

食べれてえらい。

寝れてえらい。


みんなえらい。

それでも自己否定をしてしまうなら、Youtubeに、全肯定ASMRとでも調べて欲しい。

そこには優しい世界が待ってるから。


そんな現在、自己否定の塊みたいな私は不安で仕方ない。


一体、私は何になって、何をして、どう生きるのか。



ここまで来た人はきっと、「なんだこれ」「当たり前のことをドヤってて草」「結局何が言いたい?」「自己満にも程があるだろ」などと思っているだろう。


なんともなく、その顔が浮かんでくるような気がする。


そんな顔を「オカズ」にして、今日も「自慰行為」でもしたら、きっと疲れてしまって眠ってしまうんだろう。







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