34話 セレネの強さ


“バシュッ” “ドッカアァァァンッ”


セレネの攻撃で、化け物の体が四散する。


「ナイス セレネ!」


「ん…. 余裕」


自信たっぷりの顔でこちらを見る。


そして、それに便乗に僕もデストロイで迎撃する。


“ズドンッ!” 爆音とともに、ゴリラもどきの頭部が消滅する。



前回の境界守護像ガルガンチュア戦で、ステータスが大幅に向上した。そのおかげで、ほとんどの魔物は一撃で倒せるようになったのだ。




途中、毒を撒き散らす蜥蜴トカゲや火を吹き散らす植物、巨大なカマキリなどに遭遇した。



あれから、僕達は数階層下へと降りていた。



途中に遭遇した敵も、多少苦戦したことはあるものの難なく倒せた。


粘液生物クラスト・スライムからえた新スキル、【浸透】とスキルを得たのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【浸透】→ あらゆる物に染み込ませることが出来る



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



このスキルのおかげで、大きな恩恵が得られた。


それは……




“ドゴォッンンン”


ちょうど良いタイミングで、空から敵が降ってくる。




名前:クリスタルゴーレム Lv648


HP:278000

MP:0

力:97500

防御力:378000

俊敏:12000

精神:15000


スキル:・粉砕【極】Lv45

    ・硬質化【極】Lv53


【ユニークスキル】


結晶化




僕は奴へと駆け寄り、袈裟斬けさぎりをくり出す。


直後、ゴーレムの体がバターのように切り裂かれた。



【浸透】物は浸透させるスキルなのだが、それを応用して攻撃を相手に浸透させたのだ。

それにより、相手の防御に関係なくダメージを与えることが可能になったのだ。





ふと、奥から魔物の気配がする。それも、100匹は超えている。


「セレネ……行けるか?」


[余裕」 そう短く告げると、詠唱を始めた。



「最上位氷結魔法  “蒼氷”」


直後、地面から無数の氷の柱が出現し、敵を貫く。

辺り一面氷に変わっている。



僕はあまりの威力に唖然あぜんとする



だが、そんな間も無く魔物の気配がする。


今度は百や千では効かず、万は超えてそうな感じだ。


セレネは魔物の大群へと魔法を打ち込んで殲滅していく。僕は生き残りを狩る。【極剣術】と【浸透】の相性が良く敵をザクザク切っていく。



そうしている内に、数分で殲滅を終えた。




休憩しようと座ろうとした調子、地面が揺れる。



“ドシンィィィィンンンン”



『 何事だ!? 』


僕とセレネは警戒を強め、あたりを見渡す。


ふと遠くを見ると、山が動いている。いや、それは山ではなく巨大な亀であった。


全長30mはあろう巨体に、大樹のような出足、そして山のような甲羅を身につけている。


巨大な体に似合わず、俊敏な動きでこちらへと向かってくる。



―――――――――――――――――――――――


名前:玄武げんぶ Lv793


種族: 五大聖獣 【玄武】


HP:987600

MP:142000

力:378900

防御力:578000

俊敏:64680

精神:97800


スキル:・天撃【極】Lv64

    ・重量操作【極】Lv67

    ・物理障壁【極】Lv72

    ・大地の雄叫び【極】Lv73

    


【ユニークスキル】


・神格化 神亀装甲アーマー


憤怒狂乱バーサーカー



―――――――――――――――――――――――




化け物ばかり見てきたので、今更驚かないと思ったが、これは別格だ。


明らかに強すぎる。


【青龍、朱雀、白虎、玄武、麒麟】これらの魔獣を総称したのか、五大聖獣である。


『伝説の魔物のはずじゃないのか!? 何でこんなところにいるんだ』



考えている暇もなく、奴は攻撃を仕掛けてくる。



玄武奴はは大樹のような足を空高く持ち上げ……


そして、振り下ろす。



“ズガァァァァァァアアァァンンンンッ”


けたたましい、爆音が炸裂する。


「セレネ 奴のスキルを見た感じ、今のが天撃だと思う」


「威力は高い……けど、当たらなければどうということはない」


セレネの冷静な様子を見て、僕も少し冷静になることが出来た。



「セレネッ! 俺が奴の気を引くから、奴の足元を凍らせてくれ」 


僕は奴の目の前へと駆け出し、挑発する。



「……こいよッ! 雑魚が!」


その言葉が気に障ったのか、俺を踏み潰そうと何度も足を振り落とす。


幸い奴の足は僕ほど速くない。僕は適度な距離をとりつつ、セレネを見ると軽く頷いた。


セレネも詠唱が完了したようだ。


「最上位氷結魔法 絶対零度」


玄武の足を氷が覆う。


『今だッ!』


僕はすかさず奴へ近づき、脳天に魔剣を突き刺す



“ギャオオオオアアアッツッツ”



見事頭部を貫いたが、完全には刺さらなかった。

剣をねじ込みつつ、魔法も打ち込む。


“ザシュッ!” “ザシュッ!” “ズガンッ!”


“ドォォオォンンンンッ!”


【754900 /987600】


だが、かなりのダメージを与えることが出来ている。


【浸透】のおかげで、奴の物理障壁を無効化できている。


セレネも後方から、甲羅へと魔法を打ち込む。単純に頭部の方がダメージは通るのだが、僕に攻撃の余波が来るため甲羅への攻撃しているのだろう。



『このまま倒せそうだな。伝説の魔物も大したことなかったな……』


もう奴の体力もう4割を切っていた。“余裕”そんな感情が湧き始めていた。



だが、そう甘くはなかった。


突如奴が、雄叫びをあげる。僕は異変を感じ、すぐさま離れる。


その直後、奴の体が激しく発効し始めた。




そして、すぐに変化は現れた。


明らかに動きも、攻撃の威力も恒常しているのだ。

そして,何より攻撃が通らない。


「まずいなぁ……」 


何かいい打開策がないかを考えるがすぐには思いつかない。


「…… レイ。 私があいつに弱体化魔法デバフをかけるからしばらく時間を稼いでほしい」


「分かった」


何かいい案が思いついたようだが,聞いている暇はない。僕は意を決して奴はと近づく。


「最上位弱体化魔法   


鈍感スローダウン

体力減少フィジカル・ウィークネス

防御力低下ブレイク・ディフェンス



『ナイス! セレネッ!』


心の中で感謝を述べる。



奴の動きは、明らかに鈍っている。


再び攻撃を開始する。慎重に攻撃を避け、隙をついて攻撃を加える。


何度か繰り返すうちに,奴がだんだんと弱ってきている。



【237800 /987600】


体力も残り僅かである。



僕が粘っていると、詠唱を完了させたセレネが叫ぶ


「……ん!」


すぐさま離脱し、距離をとる


「魔法をつかさりし女神イシスに乞い願う、なんじの力我に貸し与え,敵を捉える鎖となれ!


【古代捕縛魔法】 魔装牢獄カデナ!」



不意に地面から出現した鎖が玄武を捕縛ほばくする。


再び訪れた、奴の隙を突くようにして奴の頭部へと猛攻を仕掛ける。



「太陽神アテンに乞い願う、汝の力を我に貸し与え,敵を滅する光となれ! 


【古代魔法】 太陽神の鉄槌クロス・スカージ!」



“ズドオオオオォォオォォオォォオオオオン”


凄まじい熱量を持った極大の光が奴の背中へと落ちる。



甲羅がひしゃげ、ボロボロになる。


だが、まだ奴の目は死んでいない。突如、奴が大きく口を開けた。おそらく、“大地の雄叫び”を使おうとしているのだ。


しかし、この状態でそれをするのは悪手であった。


僕はニヤリと笑うと,奴の口元へ潜り込む。


そして、ありったけの魔法を打つ。


「 地獄の業火インフェルノ!・遠距離砲撃魔法デストロイ!・火炎竜巻フレイム・バーン!・雷撃ライトニング!」



全てを打ち終え、玄武を見る。



奴は一際ひときわ大きく鳴いた後、力なく崩れ落ちた。











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