14話 別れそして旅立ち


翌日の朝 



目を覚ますと僕は違和感を感じた。


『ん?』


『背中に柔らかい物が当たっているんだけど、これってもしかして……』




一人だけ心当たりがある

だが、まさかそんな事はないだろうと恐る恐る布団を捲る。













結論から言うと彼女【ウィリア】だった。



『 !?』 


僕はその場で固まってしまった。




しばらくして、僕は我に帰った。


『非常にまずい もしこれを親なんかに見られたら……』











「レーイー! いつまで寝てるのよ!」


あまりにジャストなタイミングに僕はビクッとした。


一回のリビングから母さんが僕を起こそうと階段を登ってくる。


『今 母さんが上がってたらまずいッ』


「今起きるよ! すぐ降りるから下で待ってて!」


「え〜〜? どうしたのレイ〜 何かやましい事でもあるのかな〜?」


馬鹿正直あります…とは言えない


母さんは僕の言葉を戯けた様子で受け流しながら、階段を登る足は止めない。


僕はとりあえず布団から出ようと立ち上がる が、シーツに足を引っ掛けてしまった…


「うおっ」


そしてウィリアの方に倒れ込み……


「きゃっ」










僕はウィリアを押し倒してしまった。



『側から見られたら絶対に誤解を生む』


急いで退こうとしたが、遅かった……




「レイ〜? 何が悲鳴が聞こえ…… まぁ お邪魔しちゃったわね」


「違っ 母さん誤解だっ!」


僕は必死に弁解するが、母さんは全く信じていない様子だ。


『そうだ! ウィリアに母さんの誤解を解いてもらおう!』


「母さん! これは大きな誤解なんだ! そうだよね?ウィリア」


「あら そうなの?」


とりあえず誤解は解けそ……



「別にレイなら嫌じゃないわ」


「まぁまぁ」 母さんは意地の悪い笑みを浮かべている。


『なんでそうなるんだ!? てかウィリアの奴さらに悪化させてるじゃねーか!』



「母さん誤解だ! 信じてくれ!」必死の弁解も虚しく母はそそくさと下へ降りていった。


「おい!ウィリアさん!?状況を悪化させてどうするんだよ!」


僕はウィリアを問い詰めるが


「……? 私はレイならかまわないわよ」


キョトンとした顔でさも当然のように答えてくるウィリアに


『そうじゃねーだろ! なーにーがッ!大丈夫なんだよッ!』


心の中でそう叫んだ。










その後、僕達は着替えてリビングで食事を取った。



今日の朝食は野菜のスープ、猪の肉、サラダだった。


「レイ ドレッシングとってくれる?」


ドレッシングを取ってやるとウィリアは



「ついでにかけてくれたら嬉しいな〜」


などとニヤニヤしながら言ってくる。



「調子に乗るな」


軽くデコピンをお見舞いし、ドレッシングをかけてあげた。


「えへへ ありがと!」




母さんはと言うと その一連のやり取りを見てニヤニヤとしていた。



正直腹が立った。僕は朝食を終えると身支度をするために一度部屋に戻る。


武器や防具は装備を済ませ、必要なものは全て収納し終えた。


『いよいよ 村を出ることになるのか……』


なんとも感慨深いなぁ と感じながら僕は集合場所の広場に向かう。








僕達が広場に着いた。村の者は皆 僕達を見送ろうと集まっていた。


「レイ!元気でな!」


「死ぬんじゃねーぞッ!」


「ウィリア 体調には気をつけてね!」


「頑張れよー!」


などと次々に僕達に対して言葉を投げかけてくる。





「ウィリア 僕達も最後だから両親に感謝を伝えに行こうか」


「うん」





両親は意外にすぐ見つかった。



「あら、レイ君じゃない」


「おっ、レイ君 おはよう」



「おはよう御座います」


ウィリアの両親に挨拶をする



「僕の両親が何処にいるかわかりますか?」


「もうすぐ、来ると思うよ」






言葉の通り僕の両親はすぐに広場にやってきた。


僕はすぐに駆け寄り


「父さん、母さん、今までありがとう…… 僕必ず立派な冒険師になるよ」


感謝を伝えた。


「レイ…… 立派になったわね 元気でね」


「ありがとう。母さんも元気でね」



「レイ 絶対に死ぬんじゃねぇ 約束だ。」


「うん。約束するよ 必ず生きて返ってくるよ」



「父さん、母さん今までありがとうございました」


「「レイ 元気でな(でね)」」













「ママッ パパッ わだじ がならず 立派なきじ になる!(私 必ず 立派な騎士になるなる!)』


泣きながらそう伝えると



「ウィリアちゃん 貴方なら必ず立派な騎士になれるわ 頑張ってね」


「ウィリア お前は一人じゃない…… もし困ったことがあればレイ君に相談しなさい。そしてもしレイ君が困っていたらウィリア その時はお前が彼を助けてあげなさい」


「「ウィリア(ウィリアちゃん)元気でな(元気でね)」」


「ゔん(うん)」










少ししてウィリアがレイのところに戻って来た。



「レイ! さあ早く行きましょう!」


彼女は目を赤く腫らしながら、そう言う。



「…… そうだね」 


頷きながらそう告げた。



別れ際、ウィリアの両親に


「レイ君 ウィリアをよろしく頼む」


「レイ君 ウィリアちゃんの事をお願いね」



『愛されているんだな ウィリアは』


そう思いつつ「はい」と答えた。






僕もウィリアも別れの挨拶を終えて、僕達はウィリアと広場に向かうのであった。




















広場につくとガルシュさんを発見した。ガルシュさんは数人の騎士と話している。



僕達はガルシュさんの元に向かう


「ガルシュさんおはよう御座います」


「おはよう!ガルシュさん!」



「おはよう」


ガルシュは短く挨拶を済ませる。



「そちらの騎士の方々は?」


「俺の部下だ。王都までの護衛は俺とこいつらが務める」



「レイです。今回はよろしくお願いします。彼女がウィリアです。」


頭を下げ、挨拶をする。




「ソフィーよ。王都までよろしくね」


ソフィーさんは金髪の髪に燃えるような赤い瞳を持つ美しい見た目をしている女性だ。


「レオだ。よろしく」


レオさんは赤い髪に緑の瞳をしている。鍛えたれた体は筋骨隆々とした体つきである。


「ルイスだよ。よろしくね レイ君 ウィリア君」


緑の髪に青い目をしているルイスさんは、見た目だけならば好青年に見える。が、かなりの実力の持ち主らしい。









そして、出発の時間になり、馬車は走り出した。僕達は見送ってくれている人達に頭を下げ「今までお世話になりました」ともう一度感謝の気持ちを伝えた。














そして、僕達は村が見えなくなるまで手を振り続けるのだった。







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