瀕死の探偵

 個人的に好きな作品なので、後半になり原作と異なる部分の増えたグラナダ版のドラマを見るのは少し不安でしたが、楽しめました。

 今回の見所はホームズとワトソンの友情、そして、ホームズとハドソンさんの関係性でしょうか。

 終盤の暗い部屋でのホームズとある人物の緊縛したやり取りが見所。

 当時のイギリスにとっては未知の東洋の疫病という題材は、コロナ禍に見るとまた違った捉え方ができます。




【ネタばらし見所解説】



 原作はほぼベーカー街の一室で繰り広げられ、登場人物も限られ、上質な舞台劇のような濃密な迫力があります。

 ドラマでも原作の魅力は再現されていますが、前半部は原作でさらりと触れられている箇所を大幅に膨らませています。

 ヴィクター・サヴェジとホームズを会わせて、ヴィクター・サヴェジの妻と娘をホームズが救う物語に仕立ててあります。

 屋敷で敷物滑り(あのゲームはイギリスに実在するのか?)をするシーンで、ヴィクター・サヴェジが倒れる際、床に置いてある蝋燭が消えるなど細部にも凝った演出があります。

 スミスの研究室にも動物の手の入った瓶などがあり、ちゃんと気持ち悪い。

 遺言状の不備をついた犯人が乗っ取った屋敷にワトソンが乗り込み、後から来たホームズが大声で「スミース!」と叫び、挑発する場面もクライマックスで犯人に許しを請うというお芝居にもつながり、丁寧に脚色した印象です。

 ラストシーンでサヴェジの娘とホームズとのやり取りも微笑ましくて好きです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る