海軍条約事件
今回の依頼人はワトソンの学友フェルプス。学生時代のフェルプスのあだ名が「おたまじゃくし」と珍妙なことから、記憶にあるファンのかたも多いかと。まぁ、ニックネームなんてものは仲間内以外の人にとっては、おかしなものばかりなのですが。
フェルプス君、なんと外務省の事務官。伯父上のホールドハ―スト卿は外務大臣。どうもコネで今の立場を手に入れたよう。
ある日、重要書類の写しをとるように頼まれ、他のスタッフがいなくなった頃から作業に入ります。まぁ、残業ですね。写しといってもコピー機もないですから、手書きで複写するわけです。この書類が重要どころか最重要の機密文書の海軍条約。頼んだコーヒーが一向に届かず(ウーバーイーツや出前館とかではないです)、用務員の詰め所に行った隙に条約が消えてしまいます。
さぁ、ホームズは条約を取り戻せるのか。というのがざっくりとしたあらすじ。
今回の見所はフェルプス役のデビッド・グィリムの演技。コネでポストを得た人間の悲哀というか、ひ弱さみたいなところを巧みに表現しています。なにせ事件以来、寝たきり状態。これは病気ということもあるので仕方がないのですが、学生時代の友人のワトソンがホームズと親しいことから、助けてくれるようにワトソンに手紙を送るくらいで、自ら「くそー、犯人の野郎、とっ捕まえて目にものみせてやるからな」と奮起するタイプではありません。しかも、手紙は代筆。
このキャラクター設定は当時の社会情勢への作者ドイル自身の批判的な考えが反映されているとかいないとか。
途中である人物がある人物を刃物で襲うシーンがあるのですが、この場面は役者を直接映すのではなく、影を用いています。この演出が印象的。
細かくは書きませんが、原作では活躍の場の少ないハドソンさんがグラナダ版のドラマでは結構、いい働きを見せてくれます。今回も終盤にいいシーンがありますが、詳しくは本編をご覧になっていただくか、この先にある【ネタばらしのある見所紹介】で。
【ネタばらしのある見所紹介】
ホームズは書類を取り戻します。取り返したと依頼人に伝える手法が実にホームズらしく、劇的です。それは書類を朝食の皿の上に載せ、「怪我をしているので蓋をとってもらえませんか」とフェルプスに頼み、蓋を開けると書類が載っていてビックリというもの。
ホームズ、本当に人が悪い。ここでもフェルプスはぶっ倒れます。このシーン、出演者もカメラさんも照明さんも音声さんも、みんな楽しかっただろうな。
小説だけを読んでいると気付きにくいですが、これはハドソンさんの
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