4
小春は深くため息をついて、理由を話し出した。
「実は最近、いやがらせを受けていて……」
「いやがらせ?」
お蘭と白菊はそろって、首を傾げる。
「はい。ある日、文が届きまして。そこには私の接客態度が悪いとか、私の見た目が美人画とは違うとか……。とにかく、私に関することだけなんですけど、悪口が書かれていて。それからがお店の悪口まで噂されるようになったんです。注文してから提供されるのが遅い。団子もお茶もまずいって。そのせいで、人がこなくなってしまったんです」
「許せないにゃ!」
白菊はべしんと、怒りでしっぽを床に叩きつける。
「なんで、小春さんがそんな目に遭わなきゃいけないのにゃ。同じ接客をするモノとして、許せないのにゃ!」
白菊はお蘭の着物の袖をつかんだ。
「お蘭様! 白菊にいかせてくださいにゃ!」
「白菊もちょっと落ち着きな。まだお客さんから、依頼内容を聞いていないだろう」
「にゃ! そうでしたにゃ」
白菊は自分の失敗を誤魔化すように、顔を洗うしぐさをする。お蘭はそんな白菊の行動に苦笑をこぼし、小春に向き直った。
「それで、あなたのご依頼はなんだい?」
「私がお願いしたいのは、接客です。私がお店に出ると、お客さんがこないので、かわりにお店にでていただければと……」
「小春さん。いやがらせに負けちゃだめですにゃ。白菊と一緒に、お店に立てばいいですにゃ」
「白菊さん……」
白菊は相当怒っているのか、何度もしっぽを激しく床に叩きつけている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます