2
女性はおずおずと店に入り、お蘭に勧められるまま、
女性の髪型は、右側はしっかりと結っているのに対し、左側は長く髪を垂らして顔を隠すような髪型をしていた。それをお蘭は不思議に思う。
(お客さんは美人なのに、なんでまた顔を隠すような髪型なんて……。まぁ、お客さんのことを深く聞くのは、野暮ってもんだからねぇ)
ふと、女性の隠されている顔の肌が一瞬だけ透けて、骨が見えた。
(なるほど。お客さんは、
お蘭はやってきた客人が、人間の女性ではなく、妖怪の骨女だと悟る。骨女はどういうわけか美人が多い。
(それにこのお客さん、たしか……)
そこへ白菊がお茶を持ってきた。
「お茶が入りましたにゃ」
「あ、ありがとう、ございます」
「にゃあ」
緊張気味のお客に、白菊は優しく笑いかけた。
骨女のお客は、お茶を飲んでほっと息をはきだした。お蘭は彼女が口を開くのを待つ。
「あの、ここのお店は、化け猫の手を、貸してくれるお店、なんですよね?」
「はい。私は店主のお蘭といいます。ここは、外の立て看板にあったように、化け猫がお仕事などを手伝います。といっても、手を貸すのは私ではなく、こちらにいる猫又の子ですが」
お蘭はそう言って、白菊を手で示す。
「白菊ですにゃ」
白菊はぺこりと、お辞儀をした。すると女性は湯呑みを置いた。
「私は椿寺の
小春はお蘭たちに、軽く頭を下げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます