13
カーンと遠くで鐘が鳴り、申刻(十五時~十六時)になったことを知らせる。
「今日の仕事はしめぇだ! 喜助ぇ! 紅丸を連れて、こっちこい!」
「はーい! 紅丸さん」
「にゃ」
紅丸は喜助に抱っこされて、仁平のもとに向かった。
「親方ー。紅丸さん連れてきましたー」
「あぁ。紅丸、ありがとよ。今日の支払いだ」
仁平がお金を包んだ唐草模様の風呂敷を、紅丸の首にくくりつけてやる。
仁平はちらりと喜助に視線をやってから、紅丸を見た。
「喜助はどうだ?」
「反抗しないから、教えやすいにゃ。飲み込みもまぁ早いにゃ。だけど、いかんせん手が遅いにゃ」
「うーん。反論できない」
紅丸の評価に、喜助は文句を言うことなく受け入れた。
「まぁ、そこはやっていくうちに慣れるだろう。明日から数日間、頼んだぜ紅丸」
「わかったにゃ」
紅丸は喜助の腕を軽く蹴って、近くの民家の屋根に上がった。
「明日は直接ここに来るから、迎えはいらないにゃ」
「わっかりました。また明日も、よろしくお願いしまっす!」
喜助が勢いよく頭をさげると、紅丸は二股にわかれたしっぽを振って、去っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます