第7話 自分に向かって打つ女
弓とは自分を射ること。
十数メートル先の的(まと)を射るといい、的とは自分自身の心。自分が自分であることを自覚し・実践し・実証することに、弓を射る目的がある。的は自分の(心)を示す象徴。どこまで自分が自分に成り切れたか。ここに(形而上としての)弓道の意味がある。(とはいっても、第一回国際弓道大会で日本が予選落ちというのは、腑に落ちませんが。)
これが西洋のアーチェリーと日本の弓道の違いでしょう。アーチェリーとはハンティング(狩猟という実用)でありゲームですが、弓道とは道(の追求)。即ち、自分という鞘を求めること。
この動画(試合)を見ると、お二人とも、勝ち負けというよりも「道を求めて止まざるは水なり」、自分の真の鞘を求めて一心不乱に打ち・蹴りを放っているように感じます。
2年生という一番元気のいい時ですから、技巧に走らず、勝負にこだわらず、のびのびと拳法を楽しんでいるということなのでしょうか。
2019年 第32回 日本拳法東日本大学リーグ戦(女子)【明治大学-学連選抜】
https://www.youtube.com/watch?v=zOGwTaiEymM
中堅 △永岡里沙子(明治) 1-1 高橋(立教)試合時間2分間
2分間のあいだに :
明治・永岡さん → 後拳20本 (前拳無数)
立教・高橋さん → 後蹴り12本+後拳3本 計15本
男子でも、これだけ突きや蹴りを打てる者は、少なくとも大学から日本拳法を始めた者には、いないのではないだろうか。しかも、初心者がよくやる軍鶏のケンカ(ただ、がむしゃらに殴り合う)でもなく、互いにしっかりと自分の場を意識し、ギリギリの間合いから適切なタイミングで攻撃を繰り出すという、素晴らしい勝負を見せてくれました。
永岡さんの素晴らしいところは、ここ一番という時(勝機)の連打。これができる選手というのは、なかなかいないようで、日大の松永さんが、日大らしい火のような激しい攻撃で、永岡さんと同じく、集中砲火ができるタイプだったようです。
→ 2019 日本拳法全国ブロック対抗女子学生団体戦 東日本VS中部日本 2分ごろ 次鋒で出場
https://www.youtube.com/watch?v=qQjURIVS9EQ
松永さんの激しい集中砲火にしても、永岡さんの突きや高橋さんの蹴りにしても、「集中することの美しさ」を実感させてくれます。
松永さんは卒業されたのでしょう。永岡さんは、2019年後半以降お見受けしませんが、何かの事情で大学を辞められたのでしょうか。もしそうであれば、永岡さんと同期の2名がいる明治にとって、大きな損失でした。
麻雀をやろうという時、3人まではすぐに集まるが4人目が見つからない。それと同じで、女子日本拳法で3人目を手に入れるのが、各大学共通の悩みであるようだからです。
もっとも、2名で全国大会3位まで勝ち進んだ、2019年の同志社大学女子チームという例もありましたが。
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