街が白と朱に染まった日

鈴響聖夜

プロローグ

 珍しく雪が降っているこの街で、僕は座って彼女が来るのを待っている。彼女は遅刻らしい。

 それは脈ナシの証拠だって? 僕に言われても。わざわざクリスマスイヴに僕をこんな場所に呼び出したんだ。それ相応の予定があるのだろう。

 どうしようかな。ふらっと歩いてもいいが、行き違いになるのは面倒だ。

 もう一度辺りを見回して彼女が居ないことを確認してから、フードを被り直し目を瞑り、過去に思いを馳せる。彼女はまだ来ないだろうし。せっかくだ、少し思い出話をしよう。


 僕と彼女が出逢ってから、付き合うまでの話を。

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