19世紀中頃の朝鮮半島

 幕末頃の朝鮮は、清との繋がりからキリスト教宣教師の流入が増えていた。

 時の第二五代朝鮮国王哲宗がキリスト教に寛容なこともあり、キリスト教徒は増えていく。

 しかし哲宗が崩御すると事態は一変する。

 新国王高宗が即位すると若い国王を助けるため高宗の父親である李是応は王の父を意味する大院君の称号を得て事実上の摂政に就任。朝鮮王国を支配下に置いた。

 そして強権的で集権的な支配体制を敷き、対外的には再び鎖国、孤立主義を採用。自らに権力を集中させようとした。

 その時、邪魔になったのがキリスト教徒だった。

 清との繋がりから前国王時代よりキリスト教宣教師が入ってきており、王宮へも力を及ぼしていた。

 このキリスト教徒をフランス人宣教師と共に徹底的に弾圧、虐殺した。

 自国民を殺されたフランスは激怒し艦隊を朝鮮に送り丙寅洋擾と呼ばれる戦争が始まつ

 フランスは朝鮮王国はすぐに降伏すると考え、講和条件として朝鮮王位のフランス皇帝への譲位を入れる程だった。

 だが、フランス軍の準備不足が重なり、京城の包囲に失敗。

 江華島周辺のみ制圧し、艦隊による海上封鎖により首都京城への物流網を封鎖する事にした。

 朝鮮王国はこれに対して徹底抗戦――物資が入ってこなくても我慢する籠城策を採った。

 フランス艦隊は多くの朝鮮の船を接収したが、朝鮮王国を屈服させる事は出来ず、冬の到来で、停泊地周辺で結氷が始まる。

 艦隊の自由が取れないことを憂慮して、フランス艦隊は引き上げた。

 再度の遠征も企画されたが、成功が見込めず断念。

 朝鮮王国はフランスに勝利した。

 だが、経済封鎖は京城に物資不足を招き、庶民を困窮させた。

 それでも外国を撃退した大院君の名声は高まり、朝鮮王国に攘夷の思想を強くした。

 直後ジェネラル・シャーマン事件が起こる。

 アメリカの武装商船ジェネラル・シャーマンが大同江から平壌に入り、通商を求めたが朝鮮側は拒絶。

 するとジェネラル・シャーマンは朝鮮官吏を捕縛して朝鮮側を脅迫した。

 これに怒った朝鮮側はジェネラル・シャーマンの周りに集結。形勢不利を悟り、脱出を試みるも座礁し、四日間にわたる朝鮮側の攻撃を受けて炎上沈没。生存者は朝鮮側に惨殺された。

 自業自得と言えなくもないが、この話がアメリカアジア艦隊の耳に入り、艦隊首脳部は、この事件をきっかけに朝鮮の開国を迫ろうとして朝鮮に赴いた。

 しかし、朝鮮側は拒絶した上、艦隊に対して砲撃。

 被害は無かったが、アメリカに対して発砲した相手に報復しなければ国威は失われると判断したアメリカ艦隊は反撃を開始。

 辛未洋擾と呼ばれる戦いが始まった。

 アメリカ艦隊は反撃し江華島を一時制圧するも、兵力が少ないため艦隊に撤退。

 朝鮮王国がこれで懲りるだろうと考えたが、朝鮮王国はまたも持久策を採用し交渉を拒絶。 

 アメリカは兵力が少ないこともあり早々に撤退した。

 二度の外国の攻撃を相手の準備不足と持久策で朝鮮王国は撃退したことにより大院君の名声は高まり、朝鮮王朝内では排外主義が幅を効かせるようになる。

 そこで起きたのが江華島事件だった。

 日本は、海外列強の進出と日本の植民地化を防ぐために開国し、近代化を進めた。

 しかし、日本一国で西洋諸国に対抗出来るものではなく、周辺国の協力も必要だった。

 とくに距離的に近く地政学的に重要な朝鮮王国も日本と同様に開国して近代化して欲しいと思い、明治政府は度々使者を朝鮮王国に送った。

 だが当時の朝鮮は前の二つの事件の成功体験から排外主義となっていた。

 しかも、中華思想において格下の日本が朝鮮王国、国王に対して大日本帝国と天皇を名乗るのは宗主国である中国の帝国しか使えない帝と皇の字を使った書面を受け取るのは朝鮮が日本の格下になった事を意味するため受け取りを拒絶。

 その後も洋服を着ているのは旧例に反するなど、文句を付けたり、虚言、前言撤回、激昂、仮病など非道の限りを尽くし、日朝の交渉は停滞する。

 業を煮やした日本政府は軍艦、雲揚を派遣し示威行為、見せつけることにより朝鮮側に交渉の席に着くよう要求することにした。

 釜山に入港した雲揚は砲撃演習などを行い現地当局者を震え上がらせた後、一度長崎に戻り新たな任務、清国営口周辺の測量のために出港し、清水補給のため江華島周辺へ停泊した。

 しかし、その時、朝鮮側の砲台から砲撃を受けたのである。

 雲揚は反撃し、海兵隊と陸戦隊を出して砲台を占領し一部の武器を押収、施設を破壊した後、船に戻り、日本に帰還した。

 日本側は朝鮮側に抗議した。

 史実では、ここから朝鮮側が謝罪し、交渉が進み、日朝修好条約が結ばれるのだが、龍馬が入ってきたことで話は変わる。

 雲揚が出航した直後、海援隊の艦艇が江華島周辺海域へ入り、測量と給水を始めた。

 そこへ朝鮮側が再び攻撃を開始した。

 これを待っていた海援隊の艦艇は反撃を開始。翌日には新たな艦隊が来航し、江華島周辺に停泊、上陸を開始制圧を始めた。

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