第13話 兎の恩返し3

臨時パーティーのタークさんと別れた僕は、再び天井裏を進んで立て籠りの現場の真上に戻り状況を確認する。



天井裏で見張りをしていたミケルが、ケイト様の飼い猫の居場所を見つけてくれていた。



見当たらないと思ってたら、何と隣りの部屋の棚の上にいた。

なるほど、確かに良い隠れ場所だ。



薄暗い部屋の棚の上にいる、黒猫を見つけのは至難の技だろう。

隠れ場所としては良いけど、ドアが閉まっているんだけど大丈夫か?



タークさんから借りた携帯電話ポケテル君に衛兵隊から連絡が入り、突入作戦が決行される事になった。



廊下側のドアがそっと開けられ、人質のいる部屋に閃光弾が投げ込まれた。

僕とミケルはタークさんから【特殊偏光グラス※1】を渡されていたので無事だ。



人質は項垂れて下を向いているか、目をつぶっていた人が殆どだったから、犯人以外で被害者は少ないと思う。



「「目が!目が~!!」」



あっという間に、入り口付近にいた大男と人質の見張りをしていた男は、突入して来た衛兵隊に捕まった。



残念ながら、リーダーの男は咄嗟に腕で目を庇ったらしく、他の2人よりはダメージが少ないらしい。



だが今ならリーダーの注意は衛兵隊に向いている。

ケイト様を救出するチャンスは今しか無い!



タイミングを見計らう為に穴から覗いていると、いつの間にか勇者シルバーが隣りの部屋から出てリーダーを狙っていた。



一瞬目が合い、阿吽の呼吸で僕は天井をぶち破り、全力でラビットキックを放った。



それと同時に勇者シルバーの猫パンチが炸裂し、リーダーはノックアウトされた。

たぶん骨の1本や2本、3本ぐらいは、複雑骨折だろう……



ケイト様は僕達の技が決まる寸前で、ミケルに救出され事なきを得た。



こうして、僕達の長い1日は終わった。



その後この事件で銀行は建て替えられる事になり、建築はケイト様の親戚の伯爵家が請け負う事になった。



因みに、強盗と内通していた銀行員の女はタークさんとケイト様の姉エリー様によって、衛兵隊に突き出され逮捕された。

捜査に協力したお二人は第二騎士団から表彰された。



僕とミケルも表彰式に呼ばれたが辞退した。

僕達はケイト様から受けた恩を返しただけだから。


------------------


※1


サングラスもどき。

閃光弾の光も遮る特殊なメガネ。



猫と兎のフィニッシュ技。

このネタに誰か気づいてくれると良いなぁ~。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る