第47話 襲撃
全てが上手くいっており、俺の目標は順調に達成しようとしていた。それから、次の日が春休み最終日と言う日になった。
今日は、芽依香から少し話があると言われたので奏ちゃんと二人で家の近くにある喫茶店で話し合う事になった。
芽依香は、謎の敵を探し出す為に三郎丸中の更生を尽力している。三郎丸中には、
今は、卒業しているので次のボスは
「だけどよ、その国吉とやらはどうやって繋がったんだ」
その刹那、芽依香は自分の胸を俺らに強調してきた。驚いてしまった俺は、奏ちゃんが見えない様に手で顔を隠したが、既に奏ちゃんも見えてしまい驚いていた。
「な、なに見せてんだよ!?」
「こんなので、ビビっちゃうのね。だから、純粋な子は扱いやすいのよ」
「もしかして、国吉としたのか?」
「えぇ、彼は純粋だったわよ。あんなに、がたいが良いのに精通もしてなかったわ」
「げっ!? マジかよ」
芽依香は、今までにもたくさんの男性と肉体関係を持っているので、国吉はプロの技に翻弄されてしまい身も心も支配されてしまった。
「まさ君、ゾクゾクするよ……」
「わ、分かったから……。奏ちゃん、家に帰ってから……。な?」
奏ちゃんは、芽依香の本当か嘘か分からない話に魅了されており股間を抑えていた。確かに、俺らはお互いの初体験は貰っているのでその話を聞くと思い出してしまうのも無理はないと思う。
奏ちゃんは、真っ赤な顔で俺におねだりをしてくるので話どころでは無かったが芽依香は気にせずに話を続けた。
「それでね、謎の敵についてあらかた予想がついたの」
「俺も予想して良いか?」
「あんたにできるの?」
「いや、出来ねぇけど言ってみたい気分だ」
俺は、一つだけ引っ掛かる部分を感じた。奏ちゃんの家系は、色々と公表できるものではないが奏ちゃんには腹違いの弟がいるのでもしかしたらその弟も公表できない事をしていると被害妄想している。
「正解よ。詳しく言うと、正解かもしれないと言うべきかしらね」
「マジで、当たってんの?」
俺は、芽依香に冗談混じりで予想したのだが否定するどころか肯定した。少し調子が狂ったが、芽依香は奏ちゃんの弟を敵として正体を探っているとの事だ。
確かに、奏ちゃんの父親は表向きの仕事とは別に裏社会とも関係が深いと聞いている。なので、その腹違いの弟がいると言うのならその子も公表できない事を企んでるのかもしれないと思った。
そんな感じで、春休み最終日になった。この日は、部活が休みなので朝から奏ちゃんと遊ぶ約束をしている。昨日は、ハッスルし過ぎたのでお互い恥じらいがある。
そんな中、今日は一緒に観たい映画があるので天神にある巨大ショッピングモールに来ていた。そこには、店がたくさん並んでおり飲食店から雑貨屋、八百屋などが賑わっていた。
俺と奏ちゃんは、映画の時間になるまでゲーセンに寄って遊ぶ事にした。ゲーセンでは、ゾンビゲームやコインゲームなどあるが、俺は奏ちゃんが欲しい賞品があるのでUFOキャッチャーにて奮闘していた。
今回観る映画は、俺がハマっているアニメである。このアニメは、芽依香がすり替えたアニメであり映画化にまでなっている。
そんな感じで、奏ちゃんとの四十回目デートは幕を閉じようとしていた。奏ちゃんが、欲しがってた賞品も取れたし観たい映画でも盛り上がったので満足している。後は、楽しくて幸せな時間を長く感じる為に話しながら歩いて帰っていた。
「今日もありがとな、奏ちゃん」
「僕の方こそ、ありがとう」
俺らは、手を繋いで夜道を歩いていた。相変わらず、奏ちゃんの手は柔らかくてこの感触が好きだ。こんなにもドキドキした経験は、生前では全くしてないので慣れづらい感覚がある。
その刹那、スーツを着た男性達が俺らの行く道を阻んできた。しかも、真ん中に居る男性は明らかに小学生の様に見える。
「お久しぶりです、お兄様」
「ゆう……。君……」
「奏ちゃん、この人は誰なんだ?」
奏ちゃんは、真ん中の男の子を見て顔が真っ青になっていた。その男の子は、女の子の様な小柄な顔立ちと可愛らしい服装が目立っている。
「隣の方は、清瀬様ですね。初めまして、いつもお兄様がお世話になってます」
「もしかして、お前が奏ちゃんの弟か?」
俺は、目の前に居る男の子に話しかけた。だが、奏ちゃんは何かを否定しているかの様に俺の袖を強く引っ張っていた。
「そうです。私が、尾崎奏の弟である
勇進は、俺に自己紹介しながら奏ちゃんに近づいており後ろに居る男性達も近づいてきた。奏ちゃんは、怖がってしまい俺の背中に隠れているので俺が率先して勇進に話しかけた。
「お兄様、そんなに怖がらなくても良いじゃないですか。私はお兄様の弟なのでよ」
「すまんが、何の様でここに来た?」
「それはですね、貴方達を捕まえに来ました」
思いもよらない言葉で返された刹那、スーツを着た男性達が襲いかかってきた。俺は、咄嗟の判断で背後にいる奏ちゃんを抱きしめて守ろうとしたが、奏ちゃんはどこにも居なかった。
「ぐはっ!?」
「ぶふぉ!?」
だが、俺の背後からスーツを着た男性達が殴られる声が聞こえた。振り向くと、奏ちゃんが男性達を悉く気絶させていた。
「おぉー、流石ですね。お兄様」
「僕達に近づかないで」
「嫌です」
勇進は、奏ちゃんのお願いを容易く拒んだ後に倒れていない男性達に襲わせる合図をした。スーツを着た男性達は、その合図を見てもう一度俺らに襲い掛かった。俺は、半年前に奏ちゃんから貰った護身用の警棒があるのでその警棒で男性達と対抗している。
俺と奏ちゃんで、襲い掛かってくる男性達を何人も倒してるが、それでも他の場所から勇進の部下らしき男性が湧き出てきた。
「くそ、キリがねぇ」
「諦めてください。僕は、貴方達をなにが何でも捕まえたいんです」
「何でだよ!」
俺らは、せっかくのデートが良い雰囲気で終わろうとしていたのに勇進に邪魔されたので苛ついて思わず叫んだ。勇進は、何かを面白がっている様な表情で俺達の邪魔を楽しんでいたのでムキになってしまった。
「正直言って、お兄様が居るとお父様の会社を継ぐ事ができません。なので、お兄様には死んでもらって私が継ぐのです」
「僕は……。お父様の会社を継ごうとは思ってないよ」
「で、でも! お兄様は、お父様の会社について勉強をしてらっしゃるでは無いですか!?」
「僕は…‥。ただ、経営学やパソコンの使い方についての勉強をしていただけで、お父様の会社を継ごうとは思ってないよ」
「ならば、何で勉強をしたいと思ったのですか?」
「僕は、まさ君と二人の力で会社を作りたいと思ったからだよ」
奏ちゃんは、俺らの会社を作る為に資金集めとして父親の会社で働く事を考えていた。しかし、次期社長になろうとは思っておらず、社会勉強の一環としての感覚だと勇進に伝えた。
「あ、そうでしたか……」
この事を聞いた勇進は、安心した様な顔で俺らから去っていった。それを見た部下らしき男性達は、勇進の後を黙って着いて行った。
「ちゃんとした謝罪は後日にやります」
最後に通りかかった男性から、軽い謝罪をされただけで何がどうなってるのか分からないまま今日が終了した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます