ノリと勢いのショートショート集
綾乃雪乃
三題噺「学校」「授業中」「テロリスト」
『あたしが勝ったら、あんたと付き合ってもらうから!』
カリカリ、ごしごし、という音だけが響く教室。
日々を賑やかに過ごすここは、この数日間だけ異様な緊張感に包まれていた。
それは紙に書かれた文字と頭脳戦を繰り広げる授業。
定期テストだ。
俺は、クラスメイトの女子とテストの合計点で勝負をしている。
どうやらヤツが勝ったあかつきには、俺は彼氏にならないといけないらしい。
今は最後の科目、数学。
今までの自己採点結果からみれば、俺が10点リードしている。
数学は得意だ。
見直しをしっかりやりさえすれば、俺は、ようやく、あいつに勝てる!
このためにどれだけ努力をしたか、今度こそ知らしめてやる、マジで。
一旦全ての問題を解き終えた俺は、ふいに顔を上げた。
すると、斜め前、廊下側の席にいるあいつが、なぜかこっちをみていることに気がついた。
テスト中によそ見なんて余裕かよ。シャクだ。
思わずじっと見返せば、あいつはにこりと笑って口を動かした。
(好 き だ よ)
ぐしゃり。
プリントが勢いよくゴミクズになった。
くそ!
くそ!
「(あんの……テロリストがあああああああ!!)」
机に突っ伏して、寝たフリをする、俺。
見直しなんて、できるわけがなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます