第65話 まさか殺せって言うんですか?
森から戻ってきたルーク達。
城門で手続きをして、そのまま街に入ろうとしたのだが…
衛兵「…ちょっと待て」
一度は通してくれようとした衛兵に呼び止められた。
ルーク「?」
隊長「その子犬……よく診たら、額に小さなツノがあるじゃないか。ソイツ、犬じゃないな? 魔物じゃないか?」
ルーク「ええ、そうですよ、実は、森の中で拾ったんです。親は死んでしまってて。懐かれたので飼おうかと思って…」
隊長「おいおい、ただのペットの犬ならともかく、魔物は街に持ち込むことはできないぞ」
リスティ「従魔なら問題ないだろう?」
そう言いながら爽やかな笑顔を向けたリスティ。超美形のエルフに微笑みかけられ、男だと分かっているのに衛兵がちょっとキョドってしまう。
衛兵「じ、従魔登録してあるのか?」
リスティ「いや、これから冒険者ギルドに行って獣魔登録する予定なんだ。別に構わないだろう? まだ赤ん坊だ、危険はないよ」
衛兵「う……む、まぁいいか」
リスティの笑顔の圧力に気圧されて、衛兵は思わず認めてしまった。
衛兵「そうだな、まだ赤ん坊だしな、危険はないだろう。じゃぁこれを着けていけ、従魔の登録証だ」
衛兵は、小さなメダルのついた首輪を渡してくれた。
衛兵「あくまで仮だ、早急に登録手続きをするんだぞ」
リスティ「ああ、ありがとう、すぐに手続きするよ」
* * * * *
街に入ったルークたちはまっすぐ冒険者ギルドへやってきた。
衛兵に言われたのもあるが、「疾風怒濤」の捜索依頼の報告と遺品の引き渡しがあるためだ。
受付のメアに「疾風怒濤」のメンバーの遺体を発見した事を伝えると、詳しい話を聞きたいと言うことで、ギルマスの執務室へと通された。
キリング「そうか、やはり四人は死んでいたか……」
ルーク「ええ、これが四人の冒険者証と遺品です」
キリング「ああ、ご苦労だったな。遺品は遺族に渡しておく。メア、連絡を頼むよ」
メア「はい、マスター」
キリング「それで、やはりディザスターウルフだったか」
リスティ「ええ、巣の中の遺体を確認しました。疾風怒濤の四人と戦った際に傷を負ったようで、巣に戻った所で事切れたようです」
キリング「それで、その、ソレは、もしかして……」
ポーリン「ええ、その、ディザスターウルフの赤ちゃんよ」
ルーク「多分、子育て中だったから気が荒くなってたんじゃないかな。巣に近づいてきたから(疾風怒濤のメンバーを)攻撃したけど、そっとしておけば危険はなかったんじゃないかな……」
キリング「だが、放っておけば、
ポーリン「他の子達は全部死んでいたわ。かろうじてこの子だけ息があったの。この子は強い子よ、よくがんばりまちたねぇ」
ポーリンに撫でられ気持ちよさそうにしている子狼。
キリング「まさか、飼う気じゃないよな?」
メア「え、まさか、マスター? 殺せっていうんじゃないですよね? こんな可愛いのに?」
メアがポーリンの抱いている子狼に手を伸ばして撫でる。
キリング「だが、災害狼だぞ? 大きくなったら、災害級の魔物になるんだ。今のうちに殺しておいたほうがいいだろう」
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