生活魔法しか使えない少年、浄化（クリーン）を極めて無双します（仮）（習作３）

第23話 ちょ、それは濡れ衣だったでしょ！

メアは、ルークの事を、どこかで見覚えがあると最初から思っていた。

すっかり忘れていたのだが、記憶の糸を辿り、断片をつなぎ合わせ、さらに深い記憶を掘り起こし……ついにメアはルーク誰なのか思い出したのであった。

メア「……ルーク？　ルークよね？！　十年前に孤児院を飛び出した！　間違いない！」

カウンターの中から飛び出してきたメアはルークに抱きついた。

メア「生きてたんだ！」

ポーリン「メア？」

メアは、まだ新人ではあるが、冒険者ギルドの美人受付嬢として人気がある。ポーリンと親しげにしている上、今度は美人受付嬢に抱きつかれているルークに、周囲の冒険者達から妬みと嫉妬の視線が強まる。

ルーク「えっと、さらに視線が痛いんですけど……てか、どちら様？」

メア「アタシよ！　メア！　孤児院で一緒だったメアよ、忘れちゃったの？！」

ルーク「…メア？

……ああ！

あのメア？　お漏らしして泣いてた？」

メア「ちょ、それは濡れ衣だったでしょ！　ヒボルのイタズラだったじゃない」

ルーク「ああ、そうだった、ごめんごめん」

　　　　・

　　　　・

　　　　・

モブ１「そういえば、十年前、孤児院から消えた子供が居たって話あったなぁ」

モブ２「そうか？　覚えてないなぁ」

モブ１「ほら、アマリアが捜してるって言ってたじゃないか」

モブ２「ああ、そう言えばそんな事言ってたなぁ」

　　　　・

　　　　・

　　　　・

メアはもうすぐ仕事が終わる時間だから酒場で待っていろと言うので、ルークは酒場に移動した。ポーリンも一緒である。そこで、先程のバトルの続きが始まる。

ルーク「わぁかったから、お金は受け取ります、それでもうお礼は終わりって事で。だいたい、僕は【クリーン】と【ヒール】を使っただけなんだから、一切元手も掛かってないし。【クリーン】と【ヒール】なんてそこまで高いもんでもないだろう？」

ポーリン「違うわ、あの場合、命を助ける代わりに金貨百枚と言われても文句言えない立場だったのよ？　中には金貨千枚とかふっかけてくる奴だって居る。そう考えたら金貨四枚程度では釣り合わないわ」

ルーク「それはボッタクリだねぇ」

ポーリン「命と引き換えなんだから仕方ないわ」

ルーク「しかし、じゃぁあとどれくらい、お礼に払うつもりなのさ？」

ポーリン「金額はちゃんとは考えてはいなかったけど……最低でも金貨百枚とか？」

ルーク「いらないよ、その代わりこうしよう。僕が何か困った時に、一度だけ、助けてよ」

ポーリン「分かった。一度と言わず、何度でも助けてあげるわ」

ルーク「一度でいいよ。とりあえず今日は帰ったら？　疲れてるだろう？」

ポーリン「私もメアと話があるのよ、メアは私の親友なの。私が死んだって言われて、メアも随分心配してくれてたみたいだし。……それとも、もしかしてお邪魔？」

ルーク「いや？　まぁ、いいけど。ちょっと待ってて、先に商売してくるから。

マスター、食材もってきたよ」

バル「おお、待ってたぞ！　この間仕入れた干し肉は評判がよくてな、あっという間になくなっちまったんだ。厨房のほうに出してくれるか？　あるだけ全部買うぞ」

酒場のカウンターの後ろにある厨房に入り、調理台の上に食材を出した後、酒場に戻ってきたルークだったが突然大男に腕を掴まれた。

大男「おい、ガキ！」

ルーク「痛いよ、なんだい急に？」

大男「お前が……」