オチのない怖い話

病んでる高二

あれは誰だったの?

これは、私が体験した実話です。場所、友人等は仮名を使わせていただきます。


中学3年の中体連。私はハンドボールをしていました。ハンドボールは、私の地方では大きな大会ができる体育館がなく。県の中でも大きな町の方に出ていかなくては行けなくなりました。


そして1日目、この日は移動だけでした。そして山の中にある、青少年の家に着きました。青少年の家は、よく小学生などが集団宿泊という行事で使う施設のことです。


この青少年の家は、1階が男子フロア、2階が女子フロアと別れていました。


青少年の家に入って1番最初に目に入るのは2階へと上がるための大きな階段。男子はそこから上には行かないようにと、職員の方から、特に厳しく注意を受けました。


一日目は、みんなでカブトムシ、クワガタムシを取ったり、公園で体を動かしながら遊んだりと、リラックスしながら過ごしました。


私はお風呂に入る順番をわざわざ1番最後にして、友達の晃とクワガタを探していました。クワガタを捕まえても、結局は逃がしていたんですが。


お風呂から上がると時刻は20時半を回っていました。


私達の部活の顧問はまだ24歳と若く、ゲームがとても好きでした。お風呂を済ませた私達と人狼ゲームを1時間ほどしました。それから明日の作戦の会議、就寝に向けての片付けなどをしました。


寝る前、23時になって私は喉が渇いたため冷水機に水を飲みに行きました。


冷水機は先程お伝えした、2階へと上がるための大きな階段のすぐ下にありました。


もう23時近いということでフロア全体の明かりは非常灯に切り替えられていてとても不気味でした。


怖かったので私は急いで冷水機まで行き、少量の水を口に含み、そのまま帰ろうとしました。


振り返って、足を進めようとした時に私は何故か2階の方にちらりと目を向けてしまったんです。


一日目は、女子は誰一人泊まっていませんでした。つまり、2階は誰もいない訳です。それは私も知っていました。


だから、に、女の人がいるとわかった時に死ぬほどびっくりしました。女の人がいると言っても階段への落下防止のための壁のせいで首から上しか見えませんでした。それでも長く黒い髪を見て女の人だなと判断しました。


私は最初、職員の方かなと思い軽く会釈しました。

2階にいる女の人は真顔のまま何も言わずに私を見下しました。


ものすごく時間が経った気がしました。実際には10秒にも満たない時間なのですが、私は背中や額にびっしょりと冷や汗をかいていました。冷水機から、モーター音が鳴り出したと同時に私は駆け足で寝泊まりする部屋へと向かっていました。


部屋に入ると、まだ寝る準備をしていた晃に

「なぁ、今日って2階は誰もいないんだよな。だったよな?」

と聞きました。


晃は、当たり前だろというふうに、

「何言ってんの?早く寝ないと明日試合だよ。」

そう諭してきます。


怖くなった私はその日無理やり晃をベッドに引き込み一緒に寝ました。


翌日、顧問に前日のことを話しました。すると顧問は職員の人だよ。掃除かなんかしてたんじゃない?

そう言ってきました。


あんな薄暗い中掃除をする職員がいるでしょうか。

でも、そういうことにして昼からある試合に集中しようと思いました。


しかし、私はどうしても気になって職員の人たちを一人一人確認して言ったんです。


"長くて黒い髪の女性の職員はいるのか"


女性の職員は2人いました。

1人は黒いけど、短髪。

1人は長いけど、茶髪。

いないじゃないですか。でも、昨日はあんなに薄暗かったんだから茶髪を見間違えたんだ、そう思って茶髪の職員の方に、

「昨日はなんであんなに薄暗い中で掃除をしていたんですか?」

そう聞いたんです。


そしたら、

「私は今日の朝早くから来たので昨日はいませんでした。」

って言われたんです。


それから、そのことは完全に考えないようにしました。どうせ、見間違いだ。気の所為だ。そう思いながらバスで試合会場まで移動しました。


それから中学校最後の大会ということで今までにないぐらい集中して私の中で女の人が居たという記憶は完全になくなってしまいました。


結果は惜敗。最後の数分で試合をひっくり返され、そのまま流れを掴まれて負けてしまいました。悔しくて悔しくて、試合終了時に整列する時はベンチメンバーに支えてもらいながら挨拶しました。


その日の夜。私はどうも寝つきが悪く。2時頃に一度冷水機に水を飲みに行きました。そして帰ろうとした瞬間に、昨日の出来事を思い出しました。


人間見たくないものがあればあるほど見たくなってしまうもの。私はチラッと昨日女の人が立っていた場所を見てしまいました。


この日は2階に他の中学校のサッカー部のマネージャーなどが宿泊していて、人がいるから、大丈夫。そんな風に考えていました。


目を向けると、昨日女の人が立っていた場所に今度は違う人が立っていたんです。私は昨日の人じゃない。良かった。そういう思いで会釈をしました。


勿論反応なんてないですよ。安心しきっていたから気づかなかったんです。その人もずっと真顔のまま私を見下していることに。


会釈を返さなかったことを見て私はこれは、昨日の女の人と同じだ。やっぱり居たんだ。あぁ、どうしよう。


私は気づいたらベッドにいました。部屋には晃もいたので少し安心してそのまま眠りにつきました。


朝になり、朝食を摂ることになりました。食堂には泊まっていた人がみんなで集まって食事をします。

その時に、他校のマネージャーの女の子が話していた内容が耳に入りました。


「ねぇねぇ、私さ、今日の朝2時ぐらいにさ金縛りにあったんだよね。いきなり目が覚めて、何時かなって確認しようとしたら体動かなくてさ。やっと動くようになってスマホ見たら2時15分だった。」

「えぇ、怖っ。」


その子知ってたんです。いや正確に言ったら2時に2階の廊下に立ってる所を見たんです。


その子が金縛りにあっていたと言った時間私は廊下でその子が立っているのを見たんです。


あれは誰だったの?




後日談

宿泊していて青少年の家が建っていた土地は昔集落があった場所の近くだったそうです。綺麗に整地されていたためにそこに施設を建てたそうです。


もしかしたら、昔亡くなった人を埋めていた場所なのかも知れないそうです。

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