【完結】竜騎士の私は竜の番になりました！

219：ローエングリン家の一悶着～④～

　ソフィアはセレスティアを睨みつけ、

　「なによ！笑いに来たの？」

　勿論そんな訳ではないが、セレスティアは考え込んだ。

　「間抜けだって思ってんでしょ？笑えばいいじゃない！」

　セレスティアはそういうつもりではなかったが、取り敢えず笑えばいいのかと思い、

　「アハハハハハハ」

　無理やり笑ってみせた。

　「！ホントに笑うんじゃないわよ！！うわぁあああん」

　ソフィアはさらに泣いてしまった。

　（笑えっていうから、笑っただけなのに・・・）セレスティアは解せなかった。

　「ま、それはさておき、何があったの？」

　「！！」

　「言いたいことがあったから、帰ってきたんでしょ？」

　「！！」

　まさかセレスティアに見透かされるとは思わなかったソフィアは目を見開いていた。

　「さっき、自分で言ってたじゃない。『聞いて』って。」

　「確かにそうだけど、貴方にじゃないわよ！」

　「うん、そうだろうなっとは思ってた。」

　実際、名指しされたのは父セスと兄のディーンだったからだ。

　「だったら、あっちに行ってよ！」

　「まぁ、私も自分が適任だとは思っていないけどね。でもお父様と兄さまに頼まれたから。」

　「なっ！頼まれたですって！」

　「そういうこと。さ、何があったのか言ってみて。」

　「だ、誰が貴方なんかに？！」

　ソフィアは屈辱的に思い、そっぽを向いた。

　「言いたくないの？そう、ならいいけど。それじゃ。」

　セレスティアはあっさりと踵を返した。

　「！ちょっ！待ちなさいよ！こういう時は少しは粘るもんでしょ！」

　ソフィアはまさかセレスティアがあっさり去って行こうとするとは思わなくて思わず引き留めてしまった。（やれやれ、どっちなのよ・・・）セレスティアは仕方なく、ソフィアの元に戻った。

　「ソフィアが昔から私のことをよく思っていないのは知っているから、無理にとは言わないわ。私も正直なところ適切なアドバイスをしてあげられる確証もないしね。ただ吐き出すだけで楽になることもあると思うし・・・さ、どうするの？」

　セレスティアはソフィアから返事を聞くため、ジッと見つめていたが、ソフィアは目を逸らし、しばし俯いて考え込んでいた。そして顔をゆっくりと上げ、

　「・・・わかったわ。話すわよ。」

　セレスティアも正直なところ、断られると思っていただけに少し驚いた。もしかしていろんなことが重なったことでヤケクソになっていたのか、それとも誰でもいいからとにかく話を聞いてほしかったのか。セレスティアにはソフィアがどういった心境の変化だったのかは、見当も付かなかったけれども、話してくれるなら、ちゃんと聞いてあげようと思ったのだ。

　「うわー嫌な姑さんなのね。」

　セレスティアも話を聞いてドン引きしていた。自分には姑はいないが小姑には恵まれているのだなと、ソフィアの話を聞いて有難味を感じていた。

　「そうでしょ？！私が何をやっても、何にもしていなくても結局嫌味を言ってくるのよ！！ここ最近はほぼ毎日で、本当に気が滅入ってくるの！」

　「でも旦那さんは庇ってくれているのでしょ？」

　「そうね、それがあるから今までもってるだけよ。」

　「良かったわ。」

　セレスティアは話を聞いて少しホッとした。

　「え？」

　「だって、旦那さんまでお姑さんと一緒になって、だったら最悪じゃない？もし旦那さんが味方になってくれないんだったら、それこそ離縁すればって進めちゃうところだもの。でも、旦那さんはソフィアのこと庇ってくれてるんでしょ？それならまだ、頑張れるわ。」

　「頑張るって・・・どうしたらいいのかわからないわよ。」

　ソフィアは俯いて、ギュッと拳を作った。その様子を見ていたセレスティアはあることを思い付いた。というか思い出したのだ。

　「まぁ、頑張るってほどじゃないけど、今の状況を少しは変えられる策はあるわよ。」

　セレスティアの言葉にソフィアは驚いた。

　「え？一体どうやって・・？」

　「聞きたい？」

　セレスティアは少し意地悪な顔をソフィアに向けた。

　「き、聞きたいわよ、勿論！」

　ソフィアは食いついた。

　「じゃ、教えてあげるけど、その代わりにお願いがあるの。」

　「はっ？！こんな時に？一体なによ？！」

　セレスティアはまだ悪い顔をしていて、

　「じゃ、『セレスティアお姉さま、どうか教えてください。お願いします。』って言ってみて。」

　「なっ、なっ、なっ！」

　「あら言えない？難しい事じゃないけと思うけど？」

　セレスティアは、困った風に少し首を傾げていた。対するソフィアは顔を真っ赤にして、

　「わかったわよ！言えばいいんでしょ！セレスティアお姉さま、どうか教えてください！お願いします！」

　「ふふ、はい、よくできました。」

　セレスティアにしてみれば、今まで意地悪されたことの少しばかりの意趣返しのつもりだったのだ。そして約束通り、秘策？をソフィアに伝えた。