195:イリスの猛攻
「お前らは皆殺しだ!!魔王になって最初の獲物だ、光栄に思うがいい! 」
イリスは、手に入れたばかりの力に確かな手ごたえを感じていた。この力ならば『竜の祖』達にも負けないと。
「・・・で、そんなにわか仕込みな魔王の力で俺らに勝てるって本気で思ってんのか?」
カイエルはイリスの前に立ちはだかった。
「闇の竜か・・・ふん、一匹だけで今の俺に勝てると思っているのか?」
イリスはカイエルを下手に見ていた。
「・・・やってみなきゃ、わからねぇだろ?」
「待つのじゃカイエル!」
「ダメよ!カイエル!」
アンティエルとイシュタルはカイエルを制止しようとした。さすがに1人では分が悪いからだが、カイエルはハーフチェンジし竜化した腕でイリスに切りつけようと攻撃しにいった。しかし、
「馬鹿め!!」
イリスが向かってきたカイエルに手をかざしただけで、掌から攻撃魔法を放出し、ソレはもろにカイエルに当たってしまった。
「うぐぅう!!」
「カイエル!!」
カイエルはイリスの攻撃を受け、傷だらけにはなっていたが、擦り傷程度ですんでいた。セレスティアは慌ててカイエルの傍に駆け寄った。
「大丈夫?何やってるの?!考えなしに突っ込んじゃダメじゃない!」
「ごめん、ごめん。ちょっと確かめたかっただけなんだよ。」
「確かめる?」
セレスティアはカイエルの意味深な発言に怪訝な顔をした。
「ま、多少痛い目にはあったけど、これでわかったよ。」
そういうとカイエルは攻撃されたことで薄ら汚れてしまった自分をパンパンとはたいた。
「思った通りだった。」
カイエルは余裕な顔をしながら、意味深な発言の真意を語った。
「あいつ、やっぱり中途半端だ。」
「え?そんなことわかるの?」
「俺は闇を司るモノだからな。実際あいつの攻撃を受けてみて、どれくらい闇に飲まれているのかわかるんだよ。それに・・・」
そこからはイリスに向かって、真顔で言葉の続きを話した。
「はっきり言うが、お前の力は中途半端だ。それ以上使うのは止めた方がいい。碌なことに成らねぇぞ。」
「はは!何を言ってやがる!この力は俺が緻密に練り上げた計画の賜物だ!お前らトカゲモドキが束になったところでもうどうすることもできん!」
イリスは手に入ったばかりの大きな力に酔いしれていた。傍にいたディアナはイリスの様子がいつもと違うことに内心かなり戸惑っていた。(イリス様、一体どうしちゃったの?)
「ふふ、ふふっ!力が漲っている!お前ら纏めて片付けてやる!くらえ!」
イリスはそう言うと、また掌から魔法攻撃を放出した。それらは『竜の祖』達を標的に広範囲に渡って繰り出された。咄嗟に『竜の祖』達は己の番をかばい、結界を張って対抗していた。
「ははははっ!いつまで、そのちゃっちぃ結界が持つかなぁ?!」
実際イリスの魔法攻撃の前に、『竜の祖』達の結界が段々小さくなっていた。しかしそれは、あくまでイシュタルやヴェリエル、ラーファイルとダンフィールの結界の事に限った。
「愚かじゃのう・・・・・」
イリスの様子を見ていたアンティエルは憐れむように呟いた。
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