121:セレスティアの告白

 カイエルはとセレスティアは仕事から自宅に帰宅していた。


 「うわー!凄いご馳走!!」


 夕飯は豪華であった。カイエルが記念日だということで、はりきって作ったからだ。クリームシチューにステーキ、チーズがたっぷり乗ったシーザーサラダ、朝に仕込んであった魚介と野菜のテリーヌとセレスティアの好物ばかりが並べられていた。


 「まーな。せっかくの記念日だしな!」


 「あ・・・えと、うん。そうだね。」


 セレスティアは覚悟は決めていたものの、恥ずかしかった。カイエルと出会ってから5年、カイエルには待たせてしまい、申し訳なかったと思ってはいた。


 「・・・ま、その話は後だ。先に飯にしよう。サラダ取り分けてやるよ。食後のデザートも楽しみにしてろよな。」


 「う、うん、ありがとう。いただきます!」


 セレスティアはクリームシチューに目をやり、


 「これ・・・カイエルが初めて私に作ってくれた料理だったね。」


 「あぁ、あれからセレスティアが何度もせがむからな。」


 「だって、本当に美味しかったんだもの!」


 「ったく、しょーがねぇな。」


 カイエルはぶっきらぼうに言うも、その表情は満更でもなかった。セレスティアは、好物のご馳走に舌鼓を鳴らしていた。デザートもやはりセレスティアの大好物、野いちごのタルトであった。ちなみにデザートは、スイーツが得意なアンティエルのお手製で仕事の時に、アンティエルが差し入れてくれたものだった。

 






 

 セレスティアの心臓はバクバクだった。お風呂に入り、身体はキレイに洗ってきたので、準備はできている。だが、心の準備はまだできていない。今はベッドに腰をかけて心を落ち着けるように深呼吸をしていた。


 「セレスティア」


 「!」


 カイエルが寝室に入ってきて声をかけたのだが、セレスティアはビクッと身構えていた。カイエルも風呂上りで、まだ髪は少し濡れていた。しかしそれが何だかいつもより色っぽく見えたので、余計にセレスティアの心臓には悪かった。カイエルはそのままセレスティアの横に腰かけた。しばし、沈黙であったが・・・ 

 

 「あ、あのカイエル・・・」


 「ん?」


 「えと、朝は断っちゃったけど・・・今は触ってもいいよ?」


 沈黙に耐えらえず、発した言葉はセレスティアにしては大胆なものだった。その言葉にカイエルは満面笑みを浮かべ、セレスティアを抱きしめた。


 「・・・やっと、やっとお前を抱きしめることができる。」


 「・・・・!」


 セレスティアは恥ずかしさでいっぱいいっぱいであった。なにせ今まで異性と恋愛関係になったことがないし、こういったことも当然何もかもが初めてだったから。


 「あーそうだ。聞いていいか?」


 「?」


 「このまま続きをしたいけど・・・一応確認をしておきたくてな・・・」


 「えーっと、それはどういう意味?」


 確認とは、何のことだかセレスティアには思い当たるモノがなかった。

 

 「だって俺まだちゃんとお前の気持ち聞いてないから。」


  カイエルの目は真剣であった。だが、セレスティアはソレを今更言われたことに驚いていた。


 「あっ!」


 「俺を受け入れてくれると思っていいんだな?」


 言われてみれば、確かにカイエルに自分の気持ちを口頭で伝えたことがなかったことに気が付いた。


 「・・・そ、そうね。私ったらてっきり・・・」


 勝手にとっくに気持ちは伝わっているものだと、セレスティアは解釈していたのだ。確かに、これ以上有耶無耶にしていいことではないと、セレスティアは己の気持ちを正直に言うことにした。


 「カイエル、待たせてごめんね。これが番だからなのか、何のかは私にはわからないけど・・・ただ、私は貴方の傍にずっと一緒にいたい。カイエルじゃなきゃダメみたい。」

 

 顔から火が出るくらい恥ずかしかったが、セレスティアは何とか自分の思いを伝えることができた。

 

 「セレスティア!!」


 カイエルは堪らなくなって、またセレスティアを抱きしめた。今度はセレスティアも自身の腕をカイエルの背中にがっちりと回していた。目の前にカイエルの熱の帯びた目があった。セレスティアは次に何をされるのかさすがにわかったが、恥ずかしかったので少し目を伏せた。


 「俺の・・・唯一無二の・・・」


 そう言って、カイエルはセレスティアに口づけた。


 「ん・・・」


 カイエルのソレは次第に深くなっていた。

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