これって、俺のこと好きってことでいいですか?
ハンくん
第1話 女の子ってこんな感じなんですか?
「ま〜なと!」
太陽の光が強く降り注ぎ、ようやく真夏が近づいてきたなと思う暑い日、冷房の効いた涼しい教室へと入り、自分の席に着席してスマートフォンを取り出そうと手にした瞬間、俺の名前を呼ぶ声がザワザワとしているクラス内に響く。
「なんだ? あかり」
手に持っていたスマホをズボンのポケットにしまい、俺———
そこには真夏の太陽にも負けないくらいの美しい笑みを浮かべている、大きな一つのお団子を頭の上に乗せた美女がいた。
彼女の名前は
朱莉とは一年生の頃、同じクラスになり、一時期流行ったグループ通話ブームの時、話したことをきっかけに仲良くなった。
その際、朱莉が名前で呼んでほしいと言ったので、今でも名前で呼んでいる。
俺が中学生の頃は女子と話すことはあったが、名前で呼ぶほど仲の良い女子はいなかった。
なので、名前呼びでと言われた時は驚いたし、気恥ずかしかったが、慣れてくるとリア充感もあって優越感を感じることもある。
まぁ、朱莉の場合は誰に対しても距離が近いので自分が特別という訳では無いのだが。
「……てさぁ。あれ? 聞いてる?」
回想をすることに意識を飛ばしすぎていて朱莉の話を全く聞いていなかった。
「あぁごめん。ちょっと考え事してた」
「もう……まぁいいや。それでさぁ、にっちゃんがしつこくてさぁ。メンヘラじみてきたんだよねぇ」
「メンヘラかぁ〜、見てる側だとまだいいけど自分が被害を受けるとなるとキツいな」
俺は苦笑いしながら返事をする。
にっちゃんとは一年生の頃、俺と朱莉と同じクラスだった男子で、朱莉とは付き合っては無いらしいがそのような関係に近いらしい。
昔気になって通話している時に
「付き合ってないのか」
と聞いてみた所、
「色々とめんどくさいから」
みたいな事を言っていたが、詳しいことは分からない。
「だよねぇ(笑)それでもう使わないからあのグループ抜けたんだけど、その後すぐにTwinstarのDMで何で抜けたの?ねぇ?ねぇ?ってきたんだよねぇ……ブロックしてやりたい」
朱莉は俺の肩をツンツンつつきながら話を続ける。
ちなみにTwinstarとは、インターネット上で自分の言いたい事を呟いたり、個人でDMしたりグループでDMしたりと様々な人と交流することができるSNSである。
「ってちょっと待てぇぇぇぇぇぇい! 何で俺の肩をツンツンしてるの!?」
「ん? なんとなく?」
首を傾げながら朱莉は言う。
なんで疑問形なんだよ……
最近、何故かこのような感じで朱莉を含め、周りの女子達の距離感が近い。平然と身体のどこかを触ってきたり、お互いの身体の距離が近かったりと、思春期真っ只中の男子高校生には刺激が強い。
俺は、今までとの距離感の違いから、どうしても周りの女子達に淡い期待を抱いてしまう。
"あれ? この子、俺のこと好きなんじゃね?"と。
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