底辺スキル【料理】を持つ僕は追放されたけど覚醒したので世界最強

笹篠巴

第1話

形無いものも幾らか壊れているものだと思う。


形あるものはいつか壊れる。形無いものが壊れないと言うなら結婚した後に、離婚したとしよう。結婚自体が物質のようなものでは無いのに壊れる。


ならば、今の僕はどうだ?


底辺スキルを持ち、容姿は普通。勇者と比べれば、真反対と呼ぶに相応しいだろう。


しかし、僕だって努力している。


強くなって認めてもらうために。親に無理を言ってまでここに来たのだ。中学生と呼ばれる年齢であっても、僕は頑張りたい。


そんなことを思いながら、料理を席まで運ぶ。


席に着くと気色悪い笑みを浮かべた勇者が話を切り出した。




「今日、伝えないといけないことがある。カシオン。お前はもうクビだ。」


そうか。確かにそうだよな。荷物持ちと料理しかできない。でも、僕には幼馴染がいる。抜けたところでって感じだな。


「わかった。」


「ありがとう。お前が抜けてくれたおかげで、マリィとも楽しく過ごせそうだ。」


は?意味がわからない。何を言っているんだ?


「もう、お前のものじゃなくなったんだよ。お前が弱すぎるし、奥手すぎるから嫌われたんだよ。最初は、強引にしたけど今や自分から求めてくるんだぜ?」


マリィの胸を鷲掴みしながら話してくる。


くそくそくそ。殺したくなるようなこと言いやがる。


懐にある短剣に手をかけると、


弓使いの僕の義理ではあるが、妹のキャシルに止められた。


「お前がバカで愚図だから、幼馴染も妹もお前の親友も全て貰っちまったよ。」


クソだな。最悪だ。幼馴染や親友や妹という、名ばかりの形無い繋がりは壊れたわけだ。


「早く出て行った方がいいぜ?この宿も今日までしかお前の分はとってない。大丈夫だ。パーティから抜ける手続きは終わってんだ。」


「わかった。ありがとう。そして、さようなら。」


荷物を持つ。以外に何も持ってないんだな。僕は。


「さようなら。邪魔な人。」


皮肉だろうか。そんなものは響かなくなった。捨てられたのだからね。


宿を出る時に受付にいた看板娘と言われている子にあったが心底軽蔑したような目で見られた。気持ち悪い。


外に出て、ギルドカードを確認する。パーティ名が書いてあるところには無所属と書いていた。ほんとに終わったんだな。


「オェぇぇぇぇ」


マリィと勇者がシているところを想像してしまい、吐いてしまった。


最悪だ。理不尽だ。高校も同じなんてな。きめぇ。くそくそくそ。


そんなことを思っていると、脳内に無機質な声が響く。


<覚醒>


『条件を達成。パーティに所属し、抜けることを達成。パーティメンバーの能力覚醒を初期化。』


『獲得。料理スキルの覚醒。詳細。モンスターなどを殺傷後、スキル使用により、能力を吸収可能。』


『解放。身体能力の上昇。』


無機質な声からの説明を一通り聞くと、能力値の変化を確認する。


すると、能力が全て覚醒状態にあり、勇者を超えるほどの身体能力の上昇が見てとれた。


もう一度、始めよう。僕の物語を。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


更新をあまりしないでごめんなさい。他シリーズも、もう少ししたら始まりますので、少々お待ちください。


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