準男爵編

第60話 狙ったスキルは生えてこない 

 ディアゴルド邸の警備依頼も終わり、ウォーレンさんに借りている宿舎に戻ってきた。

 まだ借りて日が浅いがこちらのほうが気が楽だ。


 ディアゴルド邸ではとてももてなしてもらったけど、貴族相手の作法などあまり知らないので知らない間に何か粗相をしてないか気になっていた。

 特に注意とかされず必要なことはちゃんと教えてもらっていたので悪い居心地はしなかったけれど、リラックスには少し遠かった。



 部屋に入ると、管理人さんに連絡するよう置き手紙があった。

 管理人さんに会うと、ウォーレンさんが心配していたので顔を見せにきて欲しいとのことだった。


 ミストラルさんと一緒にクレミアン商会に行くことにする。


 が、その前に露店の店主にレベルを返しておく。



LV:96(←62)



 店主の交換前レベルが28だったのでかなり上がってしまいちょっとだけ申し訳ない。

 別に本人に言ったりしないけど。



LV:96

HP:20493/20493

MP:200/200

腕力:1763

体力:1662

速さ:1542

器用:1276

知性:1467

精神:1305

スキル

【生活魔法】

【上級剣術Ⅲ】【上級剣術Ⅱ】

【上級体術Ⅰ】【中級盾術Ⅳ】

【中級火魔法Ⅴ】【上級水魔法Ⅰ】

【中級風魔法Ⅴ】【中級雷魔法Ⅴ】

【中級光魔法Ⅴ】

【エクスペリエンスⅡ】【ラージⅤ】

【ストロングⅠ】【体力上昇Ⅴ】

【クイックⅢ】【クイックⅠ】

【コンプレクスⅡ】【器用上昇Ⅳ】

【知性上昇Ⅴ】【精神上昇Ⅳ】

【ライフレスキュー】

【スキル成長速度上昇Ⅱ】

【MP回復力上昇Ⅳ】 

【レアドロップ率上昇Ⅲ】

【攻撃時MP回復Ⅲ】【撃破時MP回復Ⅱ】

【高速詠唱Ⅱ】【詠唱時防御】

【不意打ち】【捕縛術】

【ステルスサーチ】【隠蔽Ⅳ】

【トラップシーカーⅢ】

【中級錬金術Ⅲ】

【毒耐性Ⅳ】【睡眠耐性Ⅳ】

【沈黙耐性Ⅱ】【麻痺耐性Ⅲ】

【暗闇耐性Ⅳ】

【弱者の意地】

固有スキル

【交換Ⅳ】





 クレミアン商会に到着して、ウォーレンさんの執務室に通される。


「よう、相棒。心配したんだぜ。長く拠点を空けるのは冒険者にはよくあることかもしれんが」


「すみません、ウォーレンさん」


「ま、ミストラルから伝言は受けていたがな。相棒、ディアゴルド邸の魔物襲撃の場面にいただろ?」


「え、それは……」


「顔に出てるぞ、相棒。商売人には向かんな。いや、詳しいことは聞かんさ。ただ、ディアゴルド邸での事件は知れ渡っていて、相棒は巻き込まれ体質だからな、かまをかけただけだ。ディアゴルド家の娘が誘拐されたんだろ。貴族連中は隠しているが、目敏い商人なら知ってても黙ってるからな」


「…………」


「まあいいさ。相棒が無事だったんならな。出てきたのがS級のグレートドラゴンで、王国武闘会のときと同じだから、何か関連があるんじゃねーかと言われてるんだ」


 うーん、あると言えばあるけど、直接関係あるわけでもないんだよね。

 ただ、貴族に関係することで公にもしていないことも多いから僕からは何も喋れないんだよね。


「で、相棒、ディアゴルド家にしばらくいたんだろ? あの堅物の貴族が後ろ盾になったってな。王家と仲のいいディアゴルド家に正面から喧嘩売るやつはいねえが、一応気をつけな。何かあったらディアゴルド家にすぐに相談するんだ。貴族がらみともなると俺だと助けになれない可能性が高いからな」


「忠告ありがとうございます、ウォーレンさん」



◇◇◇



 クレミアン商会を出たあと、熱砂の高原に向かう。

 以前と同じようにアクアウォールで道を敷いて、敵を倒してMPを稼ぎつつ進み、ボスを倒す。

 うん、なんか日常に戻ったって感じだ。


 変わったのは魔法の詠唱時間がかなり少なくなったことだ。

 スキルの【高速詠唱Ⅱ】で70%短くなり、さらにミスティリングの詠唱時間20%減少と合わせて戦闘中に魔法を使ったとしてもほとんど隙がない。

 

 あとは、ドラゴンブレイドの斬れ味だ。

 豆腐を切るように、みたいな比喩があるけど、本当に抵抗なくスパスパ斬れるのだ。


 最初は楽しかったけど、段々作業感に変わってきてた。

 それと鍔が竜の牙を模しているデザインもかっこよくて気に入っている。


 そんなわけで熱砂の高原は以前よりサクサク進める。


 そこで、ミストラルさんから提案があった。


「先のグレートドラゴン戦で思うところがありまして。【撃破時MP回復】はありますが、【攻撃時MP回復】があればもっと役に立てたかと思うのです。レアスキルですが、『MP枯渇時に攻撃を繰り返す』ことで生えてくることがあると聞いたことがあります。ですのでしばらく試させて欲しいのです」


「わかりました」


 というわけで、少しやり方を変えて、ミストラルさんはボス戦まで適当にMPを使ったあと、光の矢の生成で完全に使い果たし、ボスに普通の矢でひたすら攻撃する。

 僕はただボスの攻撃を防ぎ続ける。



◇◇◇



 MPが枯渇すると、気分が悪くなる。

 吐き気もしてくるし、不快感が続くのだ。

 そんな状態で魔物に会っても使いものにならないので、普通は使い切らずに少し残して回復を待つのだ。


 これでほんとに取得できるとしたら、『暁の戦士団』のディオールはなかなか辛抱強かったんだな。

 才能があって最初から持ってた可能性もあるけど。




◇◇◇




 しばらく熱砂の高原を攻略していたけど、昇格の規定の数に足りるまで戦ってもミストラルさんにスキルは生えなかった。

 まあレアスキルだしね。


 毎回青白い顔をしてひたすら矢を放つミストラルさんを見るが、回復魔法では治せない。

 MPを直接回復する魔法はおそらくない。

 聖女と呼ばれる人間は、MPを譲渡するスキルを持っていることがあるらしい。


 もしミストラルさんに【攻撃時MP回復】が生えてくれば一気にお釣りが来るんだろうけど、これをやるのは冒険のためでもちょっとつらいな。





◆◆◆◆◆◆


 いつもお読みいただきありがとうございます!


 クラウスのスキルが多くなりすぎて、そろそろ抜けが出てきそうです……

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