第20話 毒の庭園 2
さあ、今日は毒の庭園の9階から攻略再開だ。
9階からは、毒を発生させる魔法を使うゴブリンメイジが現れるようになる。
火魔法の『サーマルスピット』と闇魔法の『ポイズンミスト』を使う。
サーマルスピットは単体火属性攻撃で確率で毒付与、ポイズンミストは全体確率毒付与だ。
サーマルスピットはトルテさんも使えるが、ファイアボールより威力が低いのに消費MPが多く毒を魔物に与えるより直接攻撃したほうが早いので、使われない魔法の代表だそうだ。
ポイズンミストはダメージはなく毒を全体に付与するのみで、サーマルスピットよりは確率が高いらしい。
どっちとも魔物が使うと厄介だが、自分たちが使うと大して役に立たない残念魔法だ。
対策は、ゴブリンメイジを見かけたらとにかく最優先で撃破だ。
特にポイズンミストを放たれると、後でパーティの毒を回復するのがものすごく手間だ。
ここは、【毒耐性Ⅰ】を持っている僕がゴブリンメイジ担当となり、とにかく斬り込んでいく。
10階でゴブリンメイジを倒したら、指輪がドロップした。
これはレアで、防毒の指輪だ。
毒にかかる確率を20%減らし、かかった場合でも効果が20%減少する。
スキルで言えば【毒耐性Ⅱ】と同じだ。
僕は毒耐性を持っているので、指輪はウォーレンさんが付けることになった。
そして、最後の転移陣に到着。
少し休んで、ボスに挑戦だ。
ここのボスはヴェノムトレント。
最初は自分の周囲に毒の霧を漂わせており、近づくと毒状態になる。
正確には、何秒かごとに毒付与が繰り返されるので最初の数秒は毒にかからなかったとしても、結局毒状態にさせられるのだ。
毒の霧は水属性攻撃でないと消滅しない。
毒の霧を消滅させても、本体にある6本の枝が揃っているとまた毒の霧が復活する。
なので、次はどれか一本の枝を落とさないといけない。
それぞれの枝には弱点属性があり、対応する攻撃をすれば枝を落としやすい。
ただ、枝はしばらくするとまたニョキニョキと生えてくる。
真っ白い木の本体は火属性が弱点。
本体の動きが遅いが、鞭のようにしなる枝を振り回してきたり葉っぱが刃物のように飛んできたり、大きな果実がどこからともなく降ってきたりと攻撃方法は多彩だ。
というミストラルさんの事前の説明を踏まえて、まずトルテさんの水魔法『ウォーターシュート』で毒の霧を消す。
次は僕がブレイズダガーで枝を一本落とす。
後は時間差でウォーレンさんがトルテさんの魔法と合わせて別の枝を落とし6本が揃わないように調整する間に、僕が本体を攻撃する。
サレンさんは敵からの攻撃が分散する様に行動し、ミストラルさんは弓矢で攻撃と誰かダメージを受けたら回復する。
のはずだったが、水魔法で毒の霧を晴らした後、僕がブレイズダガーで枝を一本落とし、振り回される別の枝が当たってくるのを気にせずそのまま本体に攻撃したら、一撃で終わってしまった。
ヴェノムトレントはレベルが僕より高いらしく、【弱者の意地】が発動していて58%ステータスが上がっていた。
「私の作戦いらなかったですね……」
「相棒強すぎんだろ……」
「トルテの水魔法は必須なの!」
「…………」
やば、ドン引きされているのではないだろうか。
まあいいや。
どうせ昇格するまでだし。
このあとまた9階から再挑戦し、この日は4回ボスを倒した。
そして、僕のレベルも1上がった。
さらにミストラルさんは【中級光魔法Ⅰ】のスキルを修得したようだ。
「これで光魔法『オーディナリー』が使えます。全ての状態異常を解除できますので、頼りにして下さい」
これで僕の半減スキルも解除できればいいのに、と思うので一応聞いてみる。
「ミストラルさん、全ての状態異常を解除できるなんて便利ですね。呪いも解除できるんですか?」
「いえ、呪いは別です。毒や麻痺などの一時的な状態異常は治せるのですが、呪いについては上級光魔法の『アンチカース』による解呪が必要です。現在の聖メルティア教国では、教皇様、聖女様、3人の大司教様が使えるはずです」
「そうなんですね」
「どなたかお知り合いに呪いを受けた方でもいらっしゃいましたか? 呪いは上級の闇魔法『カース』により受けることがありますが、カースは術者の何かを犠牲にするのでほとんど使われることはありません」
「いえ、ただの興味です。上級ダンジョンの罠には呪われるものがあると聞いたことがあったので」
「そのような罠もあるのですね。ですが、アンチカースを行使できる方にお会いすること自体が難しいうえ、その行使には貴族様の別荘が建つくらいの寄付が必要です。クラウスさんも私がアンチカースを覚えるまで呪われないよう気をつけてくださいね」
ミストラルさんが珍しく冗談を言う。
「トルテが呪われてもタダで解呪してほしいの」
そしてトルテさんがのってくる。
「そうですね、同じパーティのよしみでこっそり治してあげましょうか」
二人のやり取りを聞きつつ、僕はこっそりため息をついた。
やっぱりだめか。
まあ、地道に【交換】していこう。
翌日は、パーティで決めている休息の日だ。
僕は、午前中に武器防具店『蒼剣の煌めき』で打眠の指輪を購入しておいた。
次に挑むダンジョンが睡眠の状態異常がメインとなるからだ。
ちなみに、アクセサリーは一人3つまで装備できる。
物理的には4つ以上も可能だが、4つ以上装備すると全てのアクセサリーがお互いに干渉しあい効果を発揮しなくなるのだ。
午後からは錬金術で睡眠の状態異常から復帰させる『鶏声丸』をいくつか作っておく。
この丸薬を地面に叩きつけると破裂して、睡眠状態の人間にしか聞こえない音が出てばっちり目が覚める。
騎士団でも緊急事態時にこれを使って仮眠中の団員を起こしているそうだ。
休息の日があけて、再び毒の庭園のボスを倒しに向かう。
最低15個のボスの魔石が必要なのであと11回倒せばいい。
2日かけて11回ボスを倒したがその間にゴブリンメイジからの防毒の指輪が2つドロップし、また僕のレベルもまた1つ上がった。
ウォーレンさんも初級槍術のレベルが上がったそうだ。
LV:44
HP:8499/8499
MP:200/200
腕力:828
体力:348
速さ:221
器用:448
知性:99
精神:159
スキル
【生活魔法】
【中級剣術Ⅲ】【初級水魔法Ⅰ】
【取得経験値半減】
【ラージⅤ】【腕力上昇Ⅴ】
【体力半減】【速さ上昇Ⅴ】
【知性半減】【器用上昇Ⅲ】
【MP回復力半減】【消費MP軽減力半減】
【スキル成長速度半減】
【スキル成長速度上昇Ⅰ】
【ドロップ率半減】 【ドロップ率上昇Ⅱ】
【状態異常耐性半減】
【探知Ⅱ】【隠蔽Ⅰ】
【トラップシーカーⅢ】【初級錬金術Ⅰ】
【毒耐性Ⅰ】
【弱者の意地】
固有スキル
【交換Ⅲ】
短期間でボスの魔石が納品されていくのを見たエリアさんが、
「とても順調なご様子で何よりです」
と言ってくれたが、僕の内心はそうでもなかったりする。
レベルが上がったあとの【交換Ⅲ】を使う機会はなかったのだが、あるパーティメンバーのステータスが見えるようになっていたのだ。
◆◆◆◆◆◆
いつもお読みいただきありがとうございます!
さて、誰のステータスが見えるのでしょうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます