第8話 体育…うわぉ
「何処だ〜! ホームステイの可愛い女の子は〜!!」
雄太郎がグラウンドで大きく叫ぶ。
…おいおい。その辺にしとけよ。それ以上やったらお前の高校時代は灰色だぞ。
「キモッ」
「死ね、浜田」
「変態」
……もう遅かったようだ。雄太郎…強く生きろよ。
空は雄太郎から距離を取ると、近くの影の下に入る。
今日はいつもより暑いな。まだ新学期が始まって数日。こんなに暑くなるとは…
「もう〜、なんでこんな暑い日に外に出ないと行けないの〜」
「日焼け止め塗らないとだし…ダルッ」
「体育なんて無くなればいいのに…」
クラスの女子達があまりの暑さに、ぼやいている。
ハッキリ言えば、これは僕も異論なしだ。
昔から家に篭って勉強してた僕からしたら、体育はなくなって問題ないと思う。
登校する時に20分程歩けば運動する必要はない。この世の体育よ、滅びろ。
そう思って、ぼーっとしていると
グッ グッ グッ
ぴょんぴょんぴょんぴょん
氷川さんがアキレス腱を伸ばし、細かくジャンプしている。
麗奈はいつも下ろしている髪を後ろで結んでいる。普段の見た目は、大人しい文学少女という感じだが、後ろで結ぶとスポーティな感じが出ており、ギャップがあった。
…やる気満々だな。
麗奈は他の女子とは違って、日陰に入る事もなく日向で準備運動をしている。
…うわぉ。
空は麗奈を見つめる。
ジャンプをすると体操服を着ている為、白く、くびれがあるお腹がチラチラと見えている。
手術の時とかとは違う…なんというか、背徳感があるな…。他の男子もチラチラと氷川さんを見ているし。
「んー、まぁ胸は無いけどそれを補う容姿と肌の白さ。それにあのガードの甘さ…ふっ!」
…雄太郎は僕の隣で地面に仰向けになり、ガン見している。出来るだけ下から見る事で最大限にエロを楽しんでいるんだろう。とんでもない変態だ。ここまできたら尊敬する。
「って、ホームステイの女の子はどうした?」
空は夢中になっている雄太郎に聞く。
「いや〜それがさぁ、昨日にトラブルがあったらしくて明日からの登校なんだとよ」
「ふーん」
トラブルねぇ? 登校を明日にずらすって事は、相当な事がないとしないよな?
「残念だよなぁ!! 外国から来る美少女が見れなくて!! なぁ、同志よ!?」
雄太郎がそう言いながら抱きついてくる。
「って、おいっ! 待て待て待て! 誤解される様な事を言うな!!」
そんな事言われたら…
「また、雄太郎と空がやってる」
「子供だよね〜」
「どっちも外見は良いのにねぇ?」
1年の時、同じクラスだった人はいい。
でも…
「皆月君…そっちの人だったんだ」
「まさかあの人と同じ変態だったなんて…」
「…最低ね」
まだあまり関わりのない人にとっての第1印象、これはヤバくない?
空がオロオロしていると、
「…ちっ」
あ、あれ? 氷川さん? 何かまた舌打ちが聞こえたんだけど…。
麗奈の方を見ると、顔は見えないが何故が凄いオーラが出ている。
「よし! お前ら並べ〜! 今日は…」
先生が前に来て言う。
「今日は新学期初の体育の授業だからな、念入りにストレッチするぞー。2人でペアを作れー」
2人か、誰とやろうか。
「そうだな、教室で隣の席の奴と組むかー」
…ん?
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